ドル円長期見通し 押さえおきたい3つの展開

2015年6月5日の125.854から始まったドル円為替相場の長期修正波動は、個人的にはいくつかの理由から底打ちしたのではないかと考えています。



しかし、エリオット波動のルールの中で今後の長期展開を検討すれば、いくつものシナリオが描けます。

リスク管理の面から考えて、今後の様々な展開に柔軟に対応できるようになっておきたいものです。

今回の為替予想は、これらの中からいくつかのシナリオをピックアップして、検証してみたいと思います。







上昇トレンドの押し目であるドル円為替相場





長期の現在地を把握して、シナリオを描く



最近、短めの足のチャートで波動カウントを行うことが多く、ついついその流れでトレードに入ってしまうことがあります。

しかし、このような軽い感じでエントリーしてしまうと、思わぬ反転からの損切りや、せっかくの大きな利益を半減させてしまったりする失敗トレードに繋がってしまいます(反省(-_-;))。

このように、小さな段階の波動だけを用いてトレードしていると、エントリーポイントや、利益確定ポイントを見誤ってしまうことになります。 

個人的な経験上、トレードにおいて最も大事なポイントは、「ひとつ、又はふたつ上の段階の現在地を把握しておく」ことだと考えています。

たとえば、1時間足をメインにトレードするならば、日足(プライマリー)の現在地や、週足(サイクル)の現在地を確認して、それぞれのチャート上の節目を把握しておく必要があります。

このポイントは、トレードで大きく収益を上げるためのコツであるとともに、リスク管理の面からもとても重要です。

ひとつ、又はふたつ上の段階のシナリオを描いておき、もしそのシナリオと違う展開になった場合の対応(例えば「このラインを割ったら損切りしよう」など)も考えておくと、損失も最小限で抑えることができるようになります。


個人的に、現在のドル円為替相場は、長期修正波の底を打ったというシナリオを描いています。 しかし、そのシナリオはあくまでも予想であり、エリオット波動では、その他にもいろいろな展開が予想可能です。

リスク管理の観点から、もし違うシナリオになった場合の決済ラインも決めて、またその違うシナリオのイメージもしています。

そのうちのいくつかを紹介したいのですが、その前にドル円為替相場の現在地を再度確認してみましょう。





360円から75円の推進波で底打ち



ドル円為替相場は、戦後の1ドル=360円の固定相場制から、1973年に変動相場制に移行しました。

その360円から、長期の下降トレンドが続き、2011年10月の1ドル=75円で底打ちしたと考えられています。およそ285円の下降トレンドが続いたわけです。

下降トレンドの最後の波動(5-5波動)は、エンディングダイアゴナルトライアングルで終了しています。

このエンディングダイアゴナルトライアングルは、これ以上トレンドを推し進めていく力が残っていないトレンド最終局面に現れる特殊な斜行三角形の推進波で、底打ちのサインとなる波形です。

つまり、ドル円為替相場は、長々期(スーパーサイクル)でみれば、上昇トレンドの初動の可能性が高いわけです。






トレンド転換後の一発目は衝撃波

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2011年10月(青丸)から始まった上昇トレンドの一発目の波動は、5波動目延長型のきれいな衝撃波を展開してきました。

その後、2015年の125円から下降が続いて現在に至ります。

現在地においての大事なポイントは、この2011年から始まった衝撃波に対する修正波に位置しており、現在は「上昇トレンドの押し目」であるということです。

つまり、遅かれ早かれ、この修正波は反転していき、125円を超えてくる可能性が高いわけです。

日々、小さな段階のチャートでトレードしていると忘れがちになりますが、このポイントを意識しながら、長期のシナリオを描いていく必要があります。

個人的には、この付近でのロングポジションは、長期的にみれば、かなりのプラスになっている可能性が高いと思っています。





この衝撃波は1波なのか、A波なのか?



ドル円為替相場の長期シナリオを描く上で、問題になる点があります。それは、2011年からの衝撃波は、推進波の内部波動の1波動目なのか、又はABC展開のA波なのかという難しい問題です。

この問題は、今回は深堀しませんが、どちらの可能性もあることだけは確かです。

どちらのケースであるにしても、125円を超えてくることが予想されますが、困ったことに、それぞれのケースにより上昇波形や、押しの深さが変わってきます。

そこで、現在イメージしているABC展開のシナリオと、推進波のシナリオをそれぞれ公開したいと思います。




ABC展開でイメージしているシナリオ



2011年からの上昇がA波であると考えた場合、ABC波形の最初のA波が5波動構成の推進波であれば、ジグザグの可能性が高くなります。



ジグザグのC波動で125円を超えてくる

ドル円チャート
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このブログは9/25に投稿したものです。 

ジグザグであるならば、C波の波動構成は衝撃波となり、5波動構成の上昇で125円を超えてくるイメージを描いています。

※よくチャートに一本のイメージ点線を入れています。ただ、そのような一本調子に上昇していくわけではありません。波のように「押しては返す」をくり返しながら上昇していきます。 今回は、できるだけ細かいイメージを入れてみました(あくまでイメージですが)。

また、ジグザグの場合、A波に対するFR61.8までのリトレイスが多く、ドル円為替相場に当てはめると、95円から94円付近からの反転も考えられます。

リスク管理の面からも、このポイントは押さえて置いてください。

個人的にも、現在抱えているロングポジションは、現在地からの反転が否定される99.50付近を下回ってきた場合には決済する予定でいます。

下回ってきた場合には、次のロングエントリーポイントはFR61.8のリトレイス付近ということになります。

もうひとつ押さえておきたいポイントとして、ジグザグのB波はトライアングルになる場合があることです。







推進波でイメージしているシナリオ


2011年からの上昇が、推進波の内部波動の1波動目の衝撃波であるとするならば、125円をかなり大きく超えてくることになります(ABC展開以上の上昇)。

しかし、その125円超えまでのシナリオは多岐に渡り、様々な展開のイメージが可能となってきます。

3波の修正波動を構成していることから、フラット系、トライアングル、複合修正波等の展開が考えられますが、今回はその中からいくつかのシナリオを公開します。




現在地から125円を超えてくるシナリオ

ドル円チャート
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ひとつ目は、現在までの短い修正波から、一気に125円を超えてくるというシナリオです。あくまでもイメージですが、3波動の点線を入れてみました。

長期的観点から考えて、このような展開になっても不思議ではないと考えています。 

もし、現在地から3波動目が始まるのであれば、3波動目の終点は180円付近の可能性が高く、その後の5波動目で、さらに180円を超えてくる可能性があります。






フラット系から125円を超えてくる

ドル円チャート
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ふたつ目は、拡大フラット修正から125円を超えてくるシナリオです。 チャートの余白部分が少なく、窮屈になってしまいましたが、点線のような波形を展開していくイメージです。

現在地から3波動構成のB波で一度125円を上抜けた後に、5波動構成のC波で再び下降して、現在地であるA波の安値を下回った後に(2011年からの衝撃波の4波トライアングルの安値付近が終点?)、そこからの3波動目で125円を超えてくるという展開です。

このフラット系で考えれば、B波がA波の高値を超えられない通常のフラットや、B波がA波の高値を超えたものの、C波でA波の安値を下回れないランニングフラットという展開も考えられます。

2011年からの上昇が、推進波の内部波動の1波動目である場合には、上のような展開の他に、トライアングルや、複合修正波などの様々な展開の可能性があります。



このように、様々な波動パターンがあり予想は大変難しいのですが、長期の上昇トレンドの波にうまく乗れれば、大きな見返りが待っています。 なんとしても、このトレンドにうまく乗りたいものです。

※エリオット波動については「エリオット波動理論を使いこなす為の基礎知識」をご覧ください

追記 

最近、激励のコメントをたくさん頂くようになり、大変うれしく、また励みになっています。 この場を借りてお礼申し上げます。 たくさんの人にエリオット波動を知ってもらい、楽しく為替予想していただければ幸いです♪