とても使える取引ツールのMT4。
様々なインジケーターが無理でダウンロードできますが、エリオット波動インジケーターもいくつかあります。
そこで、「本当に正確な波動のカウントができるエリオット波動インジケーターはあるのか?」を検証してみます。
ただ、正直言って「使えるようなものはない」、また「MT4でエリオット波動インジケーターを作るのは不可能だ」と思っています。
その辺りの理由もあわせて綴ってみたいと思います。
目次
■MT4/エリオット波動インジケーターの検証
- ドル円週足/推進波のエリオット波動カウント
- エリオット波動インジケーター/EWproを検証
■ZigZagはエリオット波動インジケーターの代わりになる?
- ZigZagをドル円週足に表示してみると・・・
- ZigZagを他のチャートに表示して検証
■エリオット波動インジケーターが使えない理由
MT4/エリオット波動インジケーターの検証
エリオット波動インジケーターを検証するために、チャートを用意しなければいけませんが、検討した結果、ドル円週足チャートの推進波チャートで検証することにしました。
まずは、このドル円週足チャートの推進波がどのようなカウントなのか見てみましょう。
ドル円週足/推進波のエリオット波動カウント
上のチャートはドル円為替相場週足です。正しいエリオット波動カウントを入れてあります。
2011年10月の75円から2015年6月の125円まで、きれいな推進波を形成しているチャートです。
エリオット波動の推進波は2種類(ダイアゴナルトライアングルと衝撃波)です。
そして、それぞれから派生するフォーメーションがあるので、あわせて5つのフォーメーションがあります。
上のドル円の推進波は、衝撃波(Impulse Waves インパルス)で、その中の5波延長型衝撃波というフォーメーションです。
5波延長型衝撃波は、5波動目がエクステンション(波の延長)をした衝撃波。おそらく、通常の3波延長型衝撃波では上位の段階の目標に届かないため5波動目がエクステンションをしたものと思われます(目標はエンディング・ダイアゴナルトライアングルの始点ライン)。
そもそも、ネット上に出回っているエリオット波動インジケーターが、2種類5つのフォーメーションから成り立っている推進波を見分けることができるのか半信半疑ですが、一応検証してみます。
それでは、エリオット波動インジケーターが、この推進波をどのように判断をしてくるのか見てみましょう。
エリオット波動インジケーター/EWProを検証
まず、最初のエリオット波動インジケーターは「EWPro」です。
無料のエリオット波動インジケーターで、だれでも簡単にダウンロードして使うことが出ます。
無料のエリオット波動インジケーターで、だれでも簡単にダウンロードして使うことが出ます。
上のチャートは、エリオット波動インジケーター「EWPro」が判断したカウントです。
見ての通り全く機能していません。ここまで違ってくるとは思いませんでした。
このエリオット波動インジケーターが判断したカウントについては、あまりにも間違いすぎているのでカウントについてのコメントは控えます。
見ての通り全く機能していません。ここまで違ってくるとは思いませんでした。
このエリオット波動インジケーターが判断したカウントについては、あまりにも間違いすぎているのでカウントについてのコメントは控えます。
この他にも、ネット上に出回っているいくつかのエリオット波動インジケーターを検証してみましたが、正直どれも似たり寄ったりで使えそうなものはひとつもありませんでした。
検証したエリオット波動インジケーターと、そのチャートをここに掲載しようかとも思いましたが、あまり意味があるようには思えないためやめておきます。
やはり、MT4では正確なカウントができるエリオット波動インジケーターはない。
ただ、波のカウントはできないものの、波そのものを表示してくれ、ある程度参考になるかもしれないインジケーターがひとつあります。
ZigZagはエリオット波動インジケーターの代わりになる?
エリオット波動専用インジケーターではありませんが、エリオット波動のカウントに用いられることもあるMT4インジケーターの「ZigZag」です。
このインジケーターは、MT4に標準で最初から入っているもので、ダウンロードすることなしに使うことができます(MT4のナビゲーターウィンドウの中にある)。
ZigZagをドル円週足に表示してみると・・・
上のチャートは、ドル円5波延長型衝撃波の推進波に「ZigZag」を表示したものです。
エリオット波動用インジケーターではないので、カウントは表示されず、ラインのみで波動を表現しています。
正確ではありませんが、大まかな波動の表現はできているようです。
しかし、ドル円の推進波は5波延長型衝撃波。
「ZigZag」を使って表示すると、3波動目がエクステンションをした3波延長型衝撃波のように波が表示されており、明らかに間違っています。
トライアングルから抜け出した5-1までを3波動目までの波と認識しているようです。
ただ、ひょっとすると、他のチャートでは正確に波を捉えてくれる可能性もあるので、念のためいくつかのチャートで「ZigZag」がエリオット波動インジケーターの代わりになるのか検証してみます。
次はユーロドル日足チャートの上昇推進波に「ZigZag」を表示させて、エリオット波動インジケーターの代わりになるのか検証してみます。
まずは、上のユーロドル日足チャートに現れた推進波(強気相場)の正解のカウントから見てみましょう。
この推進波はドル円週足の推進波とは異なるフォーメーションです。
同じ衝撃波ではありますが、ドル円週足が5波延長型衝撃波であるのに対し、こちらは3波動目がエクステンション(波の延長)をした3波延長型衝撃波。
この3波延長型衝撃波には、エリオット波動の数学的基盤であるフィボナッチが、ほぼ理想的な形で現れています。
フィボナッチ・リトレースメント
■2波=1波×0.618
■4波=3波×0.382
波の倍率
■3波=1波×3.00
■5波=3波×0.618
この3波延長型衝撃波は、まさに典型的な3波延長型衝撃波。
この典型的な衝撃波であれば、エリオット波動の波を正確に捉えられるかもしれません。
上は、先ほどのユーロドル日足チャートに「ZigZag」を表示したものです。
一見すると、エリオット波動の波を正確に捉えているように見えます。
衝撃波の延長波は、その内部波動のエクステンションをした波動の波を含めると9つの波で展開されますが、「ZigZag」は9つの波で表示しているので合っています。
しかし、残念ですが延長波の3波動目の波の節目を正確に捉えることができていません(延長波の3波動目のフォーメーションは5波延長型衝撃波が正解のカウント)。
逆に難しいと思われる5波動目は、正確に波の節目を捉えています。
最後にもうひとつ別のチャートで検証してみます。
最後は弱気相場(下降トレンド)の推進波で、チャネルラインにタッチするまでは典型的な3波延長型衝撃波。しかし、ドル円の推進波は5波延長型衝撃波。
「ZigZag」を使って表示すると、3波動目がエクステンションをした3波延長型衝撃波のように波が表示されており、明らかに間違っています。
トライアングルから抜け出した5-1までを3波動目までの波と認識しているようです。
ただ、ひょっとすると、他のチャートでは正確に波を捉えてくれる可能性もあるので、念のためいくつかのチャートで「ZigZag」がエリオット波動インジケーターの代わりになるのか検証してみます。
ZigZagを他のチャート表示して検証
次はユーロドル日足チャートの上昇推進波に「ZigZag」を表示させて、エリオット波動インジケーターの代わりになるのか検証してみます。
ユーロドル日足チャート3波延長型衝撃波(強気相場)
まずは、上のユーロドル日足チャートに現れた推進波(強気相場)の正解のカウントから見てみましょう。
この推進波はドル円週足の推進波とは異なるフォーメーションです。
同じ衝撃波ではありますが、ドル円週足が5波延長型衝撃波であるのに対し、こちらは3波動目がエクステンション(波の延長)をした3波延長型衝撃波。
この3波延長型衝撃波には、エリオット波動の数学的基盤であるフィボナッチが、ほぼ理想的な形で現れています。
フィボナッチ・リトレースメント
■2波=1波×0.618
■4波=3波×0.382
波の倍率
■3波=1波×3.00
■5波=3波×0.618
この3波延長型衝撃波は、まさに典型的な3波延長型衝撃波。
この典型的な衝撃波であれば、エリオット波動の波を正確に捉えられるかもしれません。
ZigZagを表示したチャート
上は、先ほどのユーロドル日足チャートに「ZigZag」を表示したものです。
一見すると、エリオット波動の波を正確に捉えているように見えます。
衝撃波の延長波は、その内部波動のエクステンションをした波動の波を含めると9つの波で展開されますが、「ZigZag」は9つの波で表示しているので合っています。
しかし、残念ですが延長波の3波動目の波の節目を正確に捉えることができていません(延長波の3波動目のフォーメーションは5波延長型衝撃波が正解のカウント)。
逆に難しいと思われる5波動目は、正確に波の節目を捉えています。
最後にもうひとつ別のチャートで検証してみます。
ユーロドル日足チャート(弱気相場)
フィボナッチ・リトレースメント
■2波=1波×0.786
■4波=0波~3波×0.382
波の倍率
■3波=1波×3.00
■5波=1波×1.618
フィボナッチ・リトレースメントと波の倍率も理想的な数値が現れています。
この下降推進波は、延長波の3-3が1波延長型衝撃波なので、この付近は問題なく判断してくれそうですが・・・。
ZigZagを表示した弱気相場チャート
今度は、ほぼ正確に波を捉えることができているようです。
ただ、惜しいのは、最後の5波動目を3つの波で表示しています。ここが1つの波、もしくは5つの波で表示されていれば正解でした。
こうしてみると、理想的な形の推進波であれば、ある程度エリオット波動の波を捉えることができるといえるのかもしれません。
しかし、エリオット波動の推進波は理想的な形のものばかりではありません。やはり、MT4のインジケーターでエリオット波動の波を数えようとするのは無理がありそうです。
エリオット波動インジケーターが使えない理由
エリオット波動の推進波2種類5つのフォーメーションがあり、ルールやフォーメーションの特徴が異なります。
たとえば、衝撃波は1波と4波が重複しないのに対して、ダイアゴナルトライアングルは基本的に1波と4波が重複し、そのルールが微妙に違います。
また、修正波で考えても同じです。
修正波は4つの調整パターンしかありませんが、そこから派生するフォーメーションはかなりのバリエーションがあります。
このようなルールや特徴の微妙な違いを正確に判断するエリオット波動インジケーターを、MT4のような取引ツール作成するのは不可能です。
将棋のAIのPONANZAのように、コンピューターに過去数十年の相場の値動きとエリオット波動のサイクル、ルール、各フォーメーションの特徴、そしてガイドラインを覚えさせれば、エリオット波動のカウントを正確にしてくれるソフトができるかもしれませんが、MT4ではどう考えても無理です。
慣れるまで少し時間がかかるかもしれませんが、エリオット波動のカウントは、その理論を学び、ガイドラインを利用しながら自分でカウントするのが間違いなく一番よい方法です。
エリオット波動はとてもシンプルな分析手法です。意外と短期間でカウントできるようになります。
エリオット波動インジケーターに頼ることなく、ぜひ自分で波を数えてください。その方がきっと楽しいですよ。
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