「エリオット波動の波を自動でカウントしてくれるMT4のインジケーターがないものか?」
たしかに、いくつかのMT4インジケータはあるのですが、どれも機能しないものばかりでした。
今のところは自分でカウントするしかないようです。
しかし、「エリオット波動のカウントは難しい」、「波はどうやって数えるの?」と考えられている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、エリオット波動のガイドラインである「フィボナッチ」と「チャネルライン」を使った「エリオット波動の数え方/精度を上げるカウント手法」を紹介したいと思います。
きっと、エリオット波動を使って、相場の波を楽しく数えることができるようになると思いますよ。
目次
■【数える前の準備】エリオット波動の推進波の特徴
■【チャネルとフィボナッチを使う!】エリオット波動カウント手法
■黄金区分でエリオット波動のカウント精度を上げる手法
「5つの波の推進波(Motive Waves)と3つの波の修正波(Corrective Waves)の合計8波がひとつのサイクル。そして、このサイクルを繰り返しながらメジャートレンドの方向に波のように進んでいく」というのがエリオット波動のシンプルなサイクル理論です。
今回カウントするのは、5つの波で相場を力強く押し進めていく推進波です。
波を数える前には準備が必要です。ますは推進波の特徴から。
エリオット波動の推進波には、以下のような特徴があります。
推進波の特徴(ガイドライン)
■5つの波で構成され(5-3-5-3-5)、トレンドを力強く押し進めていく(エンディング・ダイアゴナルトライアングルのみ3-3-3-3-3)
■推進波には2種類5つのフォーメーションがある(衝撃波とダイアゴナル)
■推進波のほとんどは衝撃波の形で現れる
■内部波動の1波動目、3波動目、そして5波動目は同じ方向に進み、それ自体推進波で展開される
■常にひと回り上の段階のトレンド方向に現れる
■ほとんどの衝撃波は延長波が内包され(エクステンション)、内包される場所の違いによって3つの種類に分けられる
■3つの衝撃波には必然的な3つのルールがある
■5波動目が3波動目の終点を越えてこれないことがある(フェイラー)
■衝撃波の多くはチャネルラインに沿って進んでいく
■衝撃波には、波動の倍率、フィボナッチ・リトレースメント、全体の黄金区分など、至る所にフィボナッチが現れてくる
エリオット波動の推進波にはダイアゴナルトライアングル(Diagonal Triangle)と衝撃波(Impulse Waves)の2種類があります。そして、それぞれから派生するフォーメーションもあります。
ダイアゴナルトライアングル
まとめると「エリオット波動の推進波は2種類5つのフォーメーションで構成されている」というわけです。
しかし、ダイアゴナルトライアングルは現れるポイントが限定されているということもあり、あまり目にすることはありません。
相場での推進波は、ほとんどが衝撃波のフォーメーションで現れてきます。
つまり、「相場で推進波の波を数える=ほぼ衝撃波のフォーメーションをカウントする」ということになるわけです。
この衝撃波には「必然的な3つのルール」と幾つかの「ガイドライン」があり、エリオット波動で相場の波を数える場合に手助けをしてくれます。
今回はその中の「チャネルライン」と「フィボナッチ」を使って、相場の中で一番よく現れる3波延長型衝撃波(推進波)のカウント精度を上げる手法を紹介します。
※1波延長型衝撃波と5波延長型衝撃波は、次の機会にカウントの方法を紹介します。
ちなみに、波を数える前にはエリオット波動の推進波の5つのフォーメーションとガイドラインはマスターしておくことをおすすめします。
今回カウントするのは、ユーロドル日足チャートに現れた3波延長型衝撃波(強気相場)です。
この衝撃波は、2017年1月から2018年2月までの約1年続いた推進波トレンド。
上のチャートは何も施されていないので、ただランダムに上昇しているとしか思えませんが、ここにガイドラインの「チャネルライン」と「フィボナッチ」をくわえるとエリオット波動の8波のサイクルが顕在化してきます。
※上のカウント作業はエリオット波動の推進波トレンドが完成してから作成したものです。実際は相場が進行中に以下の作業を行っていきます。
推進波の5つの波のうち、トレンドを押し進める1.3.5波動目はそれ自体が推進波で展開されることはすでに触れました(推進波の特徴)。
そこでまず、1波動目が終了した時点で、そのフォーメーションが推進波(5-3-5-3-5)であることを確認します(フラクタルの縦軸を利用して、ひと回り下の段階を確認する)。
1波動目の推進波は、トレンドの認識が低いことから、きれいな推進波が現れるケースはそう多くはありません。
「衝撃波にも見えるし、ジグザグにも見えるなぁ」というようなことが多いと思います。そのような場合には、確認するチャートの時間軸を落とすと判断がつきやすくなると思います(日足チャートなら、時間足や分足チャートに時間軸を落としてみる)。
注意しておくことは、1波動目の5つの波の推進波は衝撃波だけではなく、もうひとつの推進波であるダイアゴナルトライアングル(1波動目はリーディング5-3-5-3-5)も現れるというところ。
上のユーロドル日足チャートの1波動目はトレンドの始点に現れるという特徴を持つリーディング・ダイアゴナルトライアングル(Leading Diagonal Triangle)。
リーディングのように序盤の展開が弱く「3波構成のジグザグで終わったかな? 下降トレンドまだ続きそうだ!」と思えるような展開であっても、そのジグザグの高値を再び上抜き、結果「リーディングだった!」ということもあるので、1波動目の見極めは慎重に行う必要があります。
また、1波動目と予想していた副次波が5波動構成の推進波ではなく明らかに3波動構成であるケースも要注意。
エリオット波動の推進波は、常にひと回り上の段階のトレンド方向に現れてきます。したがって、3波構成で推進波ではない場合には、ひと回り上の段階のトレンドがまだ継続している可能性が高いということが言えます。
次は修正2波動目。
衝撃波(推進波トレンド)の2波動目は、その多くは深いリトレースになるという「波の個性(エリオット波動のガイドライン)」があります。
1波動目×0.500、×0.618付近、また1波動目の始点近く(×1.00)までリトレースしてくることも珍しくはありません(フィボナッチ・リトレースメント)。
2波動目は深くなるので、実際のトレードで3波動目を狙う場合には、焦ることなく1波動目始点ラインに充分引き付けてからエントリーするのが理想的。
2波動目の修正波が完成して、反転を確認してからのエントリーでも遅くはありません。焦らず慎重にタイミングを計りたいところです。
話は戻りますが、1波動目の推進波が確認できれば第一関門突破。
しかし、その推進波が衝撃波(推進波トレンド 5-3-5-3-5)の1波動目であることは確定していません。その推進波はジグザグ(修正波トレンド 5-3-5)のa波である可能性も残っています。
なので、衝撃波とジグザグを見極める必要があります。
※フラクタルの縦軸を使って上位の段階を確認すると事前に判断がつくことが多い
衝撃波とジグザグを見極めは、ジグザグの特徴の中にそのヒントがあります。
ジグザグは以下のような特徴があります。
ジグザグ修正波の特徴
■c波は0-2チャネルライン付近でよく終点を迎える
■c波=a波(1.00)になることが多いが、ときにそのc波はa波×1.618まで大きくなることがある(上位の目標を達成するため、稀に2.618などになることもある)
ジグザグ修正波は、よく0-2チャネルライン付近でその終点を迎えます。
つまり、この0-2を勢いよく越えてくるようであれば、そのフォーメーションが衝撃波である可能性がグッと高くなるわけです。
※0-2チャネルラインは、0波と2波終点を結んだラインと平行に1波(a波)終点からラインを引いたチャネル。
また、ジグザグ修正波のc波は、a波(1.00)になることが多く、そのほとんどはa波×1.618以内で終点を迎えます。
したがって、3波動目が1波動目×1.618ラインを実線で越えてくると、これも衝撃波であるサイン。
これらの特徴を利用して、衝撃波とジグザグを見極めるための作業を行います。
衝撃波とジグザグを見極めるための作業として「チャネルライン」と「フィボナッチ」を表示させます。
衝撃波とジグザグを見極めるための作業
■0-2チャネルラインを引く
■1波動目の×1.00と、×1.618にラインを引く(波の倍率)
作業といっても、この簡単な2つの作業だけです。とても簡単です。
この作業が終わると上のようなチャート画面になっていると思います。このようなチャートに仕上げておいて、次の3波動目の行方を見守ります。
3波動目が始まってから行うカウント作業はさらに簡単です。
前段の作業で表示させた2つのポイントを越えてくるかどうかを確認するだけです。
3波動目が0-2チャネルラインと1波動目×1.618ラインを実線で越えてくる=衝撃波(推進波トレンド)であることが濃厚
※上のチャートでは、0-2チャネルラインの中で段階の違う推進波の2つの山(見込み波)を作り、その後に勢いよく×1.618ラインを越えています(明確にトレンド転換が確認できるまでには時間がかかる)。
※エントリーポイントは2波動目終点、もしくは3-2波動目終点付近が理想的(このポイントで波に乗れれば、その後一度も損益を抱えることがない)。
ただし、残念なことに必ず衝撃波であるとまでは言い切れません。なぜなら、ジグザグのc波は上位の段階の目標ポイントに到達するため、稀にa波×2.618などと大きくなることがあるからです。
逆に、3波動目が1波動目×1.618ラインを越えてこれないから衝撃波ではないということでもありません(5波延長型衝撃波は、エクステンションをする要因の違いによって、1波動目×1.618ラインを3波動目で越えてくることもあれば、5波動目で越えてくることもある)。
このようなダマシに合わないために「フラクタルの縦軸を使い上位の段階の波動展開を常に確認しておく」ことが大切。
付け加えると、1波動目×1.618ラインは、実線で越えてくることを確認します。ヒゲの部分だけ越えて、結果「ジグザグだった!」ということはよくあります。実線で越えてくるのが理想的です。
3波動目が始まってからの作業で行うおすすめの作業がひうひとつあります。
それは、3波動目の内部波動にも同様の作業を行うことです。
衝撃波の内部波動3波動目はそれ自体衝撃波で展開されます。したがって、チャネルラインとフィボナッチが機能します。
この作業を行うと、3波動目の終点をさらに深く捉えることができるようになってきます。
上は、延長波の3波動目(5波延長型衝撃波)をチャネリングをしたチャートです。
引いているチャネルはのちほど説明する2-4チャネルで、3波動目はこの2-4チャネルの3波ラインタッチで終点を迎えていることが確認できると思います。
この衝撃波のチャネリングは、どの段階でもとても機能するのでおすすめです。
次は、3波動目が終わってからの作業です。
この作業は、4波動目終点の見極めのために行います(言い換えれば5波動目がどこから始まるのかを推定するために行う作業)。
まずは4波動目の特徴を確認します。
3波延長型衝撃波の修正4波動目には以下のような特徴があります。
3波延長型衝撃波/修正4波動目の特徴
■修正4波動目は浅いリトレースで横ばいの修正波が現れ易い(波の個性)
■修正4波動目は1-3チャネルを越えて(もしくはタッチ)からスタートする
■フィボナッチ・リトレースメントでは3波×0.382、0~3波×0.382となるこが多い
■0-2チャネルラインでサポートされることがある
■前の3波動目の4波最安値でよくサポートされる(前の3波動目が3波延長型の場合)
3波延長型衝撃波の修正4波動目は、その多くが浅いリトレースで終わります。調整パターンもフラット修正波、横ばいの複合型修正波、トライアングル修正波などが現れてきます。
そして、ほとんど4波動目は1-3チャネルラインを越える(もしくはタッチする)まで継続するという特徴があります。。
※1-3チャネルは、1波と3波の終点を結んだラインと平行に2波終点から引いたチャネルライン。
この1-3チャネルを意識しておくと4動目のB波などのダマシに合うことは無くなるはずです。
そのサポートは、上記のフィボナッチ・リトレースメント、エリオット波動のセオリーのポイント、0-2チャネルラインのうちのいずれかになり易く、またこれらのポイントがいくつも重なってくることもよくあります。
3波動目が終わってからのカウント作業は、これらのポイントをチャートに落とし込んでいくことです。
1-3チャネルを引くと、上のようなチャートになります。
4波動目は、1-3チャネルを越えて3波×0.382、または0~3波×0.382ラインをヒゲの部分だけ越えてから5波動目のスイッチが入るというのがその典型的なパターンですが、このユーロドル衝撃波の4波動目は、1-3チャネルを越えて0-2チャネルラインでサポートされるという結果でした。
0-2チャネルラインでサポートされるというパターンはよくあります。エリオット波動のカウントの邪魔にならないのであれば、0-2チャネルラインはそのまま残しておくことをおすすめします。
ちなみに、このユーロドル衝撃波の延長波である3波動目は、5波動目がエクステンションをした5波延長型衝撃波なので、4波動目安値でサポートされるというエリオット波動のセオリーは使えません。
4波動目が終わってからのカウント作業は、5波動目の終点(言い換えると3波延長型衝撃波全体の終点)を推定するために行います。
3波延長型衝撃波のクライマックスである最後の5波動目は、2-4チャネルラインの1波ライン(稀に3波ライン)でその終点をよく迎えます。
※2-4チャネルは、2波と4波の終点を結び、それと平行に1波終点からラインを引いたチャネル。ただし、3-2波と4波の終点を結んだチャネルが機能することがあるので、2-4チャネルだけは2つ引くことをおすすめします。
2-4チャネルラインを引くと、上のようなチャートになります。
このユーロドル日足チャートの衝撃波は、2-4チャネルの1波ラインタッチで5波動目(衝撃波全体)が終点を迎えています。
この2-4チャネルを使うと衝撃波の終点を推定することが可能となり、実際のトレードでは大きな武器となります。
ただ、5波動目の終点を2-4チャネルで推定する場合に、注意してほしいポイントがいくつかあります。
2-4チャネルで5波動目終点を推定する場合に注意するポイント
■一時的にチャネルを上抜けてることがある(Throe-over 上放れ)
■5波動目が3波動目の終点を越えてこれないことがある(フェイラー)
■5波動目がエクステンションをしてくることがある(波の延長)
トレンド終わりと言っても、その最後は必ずと言っていいほど勢いがあります。
ボラティリティが高まる時間に最後の5波動目を迎えた場合などは、2-4チャネルを一時的に行き過ぎてしまうこともあります(Throe-over 上放れ)。
ただ、行き過ぎてもヒゲの部分だけで、実線で行き過ぎることはあまりありません。
また、逆に5波動目が3波動目の終点を越えてこれないことがあります。これをフェイラー(トランケーション)といいます。
3波動目があまりにも遠くへ進んだ場合に起こることがあります(上のユーロドル日足チャート5波動目も5-5波動目がフェイラー気味)。
そして、〇3波動目の大きさがそれほど大きくない、〇4波動目で大きくリトレースした、〇通常の3波延長型衝撃波では上位の段階の目標に到達できない場合は、最後の5波動目がエクステンション(波の延長)をしてくることがあるので注意が必要です。
※このような場合には2-4チャネルの3波ラインが終点になることが多い
繰り返しになりますが、この最後の5波動目自体も推進波です。なので、この5波動目の内部波動にも、同様の作業を行うことができす(さらに深く終点を推定できるようになります)。
ここまでの作業だけで充分カウントの精度を上げることができるのですが、さらにカウントの精度を上げる方法があります。
その方法とは、フィボナッチ黄金区分(黄金分割)を使うものです。
エリオット波動の数学的な基盤であるフィボナッチは、「リトレイスメント」や「波の倍率」だけではなく、フォーメーション全体にも現れてきます。
上の図は、フィボナッチ黄金区分(黄金分割)が衝撃波全体にどのように現れるのかをイメージしたものです。
エリオット波動の3つの衝撃波には、それぞれに理想的な形というものがあり、またその形に近づこうとする傾向があります。
特に3波延長型衝撃波と5波延長型衝撃波はその傾向が強く現れ、4波動目の最安値(強気相場のケース)で衝撃波全体がフィボナッチの黄金比率で分割される形によくなります。
※4波動目の最安値は、4波動目の終点や稀に4波動目の最高値になることもあります。
3波延長型衝撃波の黄金区分
■4波動目最安値で0.618と0.382で分割される
5波延長型衝撃波はの黄金区分
■4波動目最安値で0.382と0.618で分割される
これらは、あくまでも目安となるものですが、このような形になる強い傾向があります。
このフィボナッチ黄金区分と、チャネルラインを組み合わせれば、衝撃波の終点をピンポイントで狙うことも不可能ではありません。
上は、黄金区分とチャネリングで内部波動までエリオット波動カウントしたチャートの完成形です。
フラクタルの縦軸である内部波動の各衝撃波がチャネルラインに沿って進んでいることが確認できるとともに、その各衝撃波が黄金比率で理想的な形で区分されていることもあわせて確認できます。
冒頭ではランダムで上昇しているようにしか見えなかったユーロドル日足チャート。
しかし、このエリオット波動カウントチャートの完成形でみると、エリオット波動のサイクルが顕在化しています。
そして、相場がフラクタル構造になっていて、しかもその各段階が正確にエリオット波動サイクルを刻みながら上昇しているということがはっきりと確認できるようになっています。
為替相場において各通貨ペアは、関連通貨に影響を与えたり、また逆に影響を受けたりしながらそのサイクルが進んでいきます。
なので、為替相場では今回カウントした衝撃波のような理想的な推進波ばかり現れることはありません。
しかし、フィボナッチとチャネルを使って波を数えることにより、恣意的要因を排除して、カウント精度をかなり上げることができるようになるはずです。
エリオット波動を始めたばかりで「波はどうやって数えるの?」と思われている方は、この手法を試してみてください。
きっとエリオット波動の波が数えられるようになり、また相場がエリオット波動サイクルで進んでいると確信できるようになると思いますよ。
以上、エリオット波動の数え方! 精度を上げるカウント手法でした。
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今のところは自分でカウントするしかないようです。
しかし、「エリオット波動のカウントは難しい」、「波はどうやって数えるの?」と考えられている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、エリオット波動のガイドラインである「フィボナッチ」と「チャネルライン」を使った「エリオット波動の数え方/精度を上げるカウント手法」を紹介したいと思います。
きっと、エリオット波動を使って、相場の波を楽しく数えることができるようになると思いますよ。
エリオット波動の推進波をカウントする手法
目次
■【数える前の準備】エリオット波動の推進波の特徴
■【チャネルとフィボナッチを使う!】エリオット波動カウント手法
- ユーロドル3波延長型衝撃波(強気相場)のカウント
- 1波動目の推進波を確認【1波終了時】
- 衝撃波とジグザグを見極める2つの作業【2波終了時】
- 2つのポイントを越えてくるのを確認【3波展開時】
- 4波動目終点/5波動目始点の見極める作業【3波終了時】
- チャネルで5波動目終点を推定する【4波終了時】
- 2つの衝撃波に現れるフィボナッチ黄金比率
- 黄金区分とチャネリングで内部波動までカウントしたチャート
■エリオット波動の数え方まとめ
「5つの波の推進波(Motive Waves)と3つの波の修正波(Corrective Waves)の合計8波がひとつのサイクル。そして、このサイクルを繰り返しながらメジャートレンドの方向に波のように進んでいく」というのがエリオット波動のシンプルなサイクル理論です。
今回カウントするのは、5つの波で相場を力強く押し進めていく推進波です。
【数える前の準備】エリオット波動の推進波の特徴
波を数える前には準備が必要です。ますは推進波の特徴から。
エリオット波動の推進波には、以下のような特徴があります。
推進波の特徴(ガイドライン)
■5つの波で構成され(5-3-5-3-5)、トレンドを力強く押し進めていく(エンディング・ダイアゴナルトライアングルのみ3-3-3-3-3)
■推進波には2種類5つのフォーメーションがある(衝撃波とダイアゴナル)
■推進波のほとんどは衝撃波の形で現れる
■内部波動の1波動目、3波動目、そして5波動目は同じ方向に進み、それ自体推進波で展開される
■常にひと回り上の段階のトレンド方向に現れる
■ほとんどの衝撃波は延長波が内包され(エクステンション)、内包される場所の違いによって3つの種類に分けられる
■3つの衝撃波には必然的な3つのルールがある
■5波動目が3波動目の終点を越えてこれないことがある(フェイラー)
■衝撃波の多くはチャネルラインに沿って進んでいく
■衝撃波には、波動の倍率、フィボナッチ・リトレースメント、全体の黄金区分など、至る所にフィボナッチが現れてくる
エリオット波動の推進波にはダイアゴナルトライアングル(Diagonal Triangle)と衝撃波(Impulse Waves)の2種類があります。そして、それぞれから派生するフォーメーションもあります。
ダイアゴナルトライアングル
- リーディング・ダイアゴナルトライアングル
- エンディング・ダイアゴナルトライアングル
衝撃波
- 1波延長型衝撃波
- 3波延長型衝撃波
- 5波延長型衝撃波
まとめると「エリオット波動の推進波は2種類5つのフォーメーションで構成されている」というわけです。
しかし、ダイアゴナルトライアングルは現れるポイントが限定されているということもあり、あまり目にすることはありません。
相場での推進波は、ほとんどが衝撃波のフォーメーションで現れてきます。
つまり、「相場で推進波の波を数える=ほぼ衝撃波のフォーメーションをカウントする」ということになるわけです。
この衝撃波には「必然的な3つのルール」と幾つかの「ガイドライン」があり、エリオット波動で相場の波を数える場合に手助けをしてくれます。
今回はその中の「チャネルライン」と「フィボナッチ」を使って、相場の中で一番よく現れる3波延長型衝撃波(推進波)のカウント精度を上げる手法を紹介します。
※1波延長型衝撃波と5波延長型衝撃波は、次の機会にカウントの方法を紹介します。
ちなみに、波を数える前にはエリオット波動の推進波の5つのフォーメーションとガイドラインはマスターしておくことをおすすめします。
■推進波のおすすめ記事
【チャネルとフィボナッチを使う!】エリオット波動カウント手法
ユーロドル3波延長型衝撃波(強気相場)のカウント
今回カウントするのは、ユーロドル日足チャートに現れた3波延長型衝撃波(強気相場)です。
この衝撃波は、2017年1月から2018年2月までの約1年続いた推進波トレンド。
1波動目の推進波を確認【1波終了時】
※上のカウント作業はエリオット波動の推進波トレンドが完成してから作成したものです。実際は相場が進行中に以下の作業を行っていきます。
推進波の5つの波のうち、トレンドを押し進める1.3.5波動目はそれ自体が推進波で展開されることはすでに触れました(推進波の特徴)。
そこでまず、1波動目が終了した時点で、そのフォーメーションが推進波(5-3-5-3-5)であることを確認します(フラクタルの縦軸を利用して、ひと回り下の段階を確認する)。
1波動目の推進波は、トレンドの認識が低いことから、きれいな推進波が現れるケースはそう多くはありません。
「衝撃波にも見えるし、ジグザグにも見えるなぁ」というようなことが多いと思います。そのような場合には、確認するチャートの時間軸を落とすと判断がつきやすくなると思います(日足チャートなら、時間足や分足チャートに時間軸を落としてみる)。
注意しておくことは、1波動目の5つの波の推進波は衝撃波だけではなく、もうひとつの推進波であるダイアゴナルトライアングル(1波動目はリーディング5-3-5-3-5)も現れるというところ。
上のユーロドル日足チャートの1波動目はトレンドの始点に現れるという特徴を持つリーディング・ダイアゴナルトライアングル(Leading Diagonal Triangle)。
リーディングのように序盤の展開が弱く「3波構成のジグザグで終わったかな? 下降トレンドまだ続きそうだ!」と思えるような展開であっても、そのジグザグの高値を再び上抜き、結果「リーディングだった!」ということもあるので、1波動目の見極めは慎重に行う必要があります。
また、1波動目と予想していた副次波が5波動構成の推進波ではなく明らかに3波動構成であるケースも要注意。
エリオット波動の推進波は、常にひと回り上の段階のトレンド方向に現れてきます。したがって、3波構成で推進波ではない場合には、ひと回り上の段階のトレンドがまだ継続している可能性が高いということが言えます。
■推進波の現れ方でトレンドを見極める方法
衝撃波とジグザグを見極める2つの作業【2波終了時】
次は修正2波動目。
衝撃波(推進波トレンド)の2波動目は、その多くは深いリトレースになるという「波の個性(エリオット波動のガイドライン)」があります。
1波動目×0.500、×0.618付近、また1波動目の始点近く(×1.00)までリトレースしてくることも珍しくはありません(フィボナッチ・リトレースメント)。
2波動目は深くなるので、実際のトレードで3波動目を狙う場合には、焦ることなく1波動目始点ラインに充分引き付けてからエントリーするのが理想的。
2波動目の修正波が完成して、反転を確認してからのエントリーでも遅くはありません。焦らず慎重にタイミングを計りたいところです。
話は戻りますが、1波動目の推進波が確認できれば第一関門突破。
しかし、その推進波が衝撃波(推進波トレンド 5-3-5-3-5)の1波動目であることは確定していません。その推進波はジグザグ(修正波トレンド 5-3-5)のa波である可能性も残っています。
なので、衝撃波とジグザグを見極める必要があります。
※フラクタルの縦軸を使って上位の段階を確認すると事前に判断がつくことが多い
衝撃波とジグザグを見極めは、ジグザグの特徴の中にそのヒントがあります。
ジグザグは以下のような特徴があります。
ジグザグ修正波の特徴
■c波は0-2チャネルライン付近でよく終点を迎える
■c波=a波(1.00)になることが多いが、ときにそのc波はa波×1.618まで大きくなることがある(上位の目標を達成するため、稀に2.618などになることもある)
ジグザグ修正波は、よく0-2チャネルライン付近でその終点を迎えます。
つまり、この0-2を勢いよく越えてくるようであれば、そのフォーメーションが衝撃波である可能性がグッと高くなるわけです。
※0-2チャネルラインは、0波と2波終点を結んだラインと平行に1波(a波)終点からラインを引いたチャネル。
また、ジグザグ修正波のc波は、a波(1.00)になることが多く、そのほとんどはa波×1.618以内で終点を迎えます。
したがって、3波動目が1波動目×1.618ラインを実線で越えてくると、これも衝撃波であるサイン。
これらの特徴を利用して、衝撃波とジグザグを見極めるための作業を行います。
衝撃波とジグザグを見極めるための作業として「チャネルライン」と「フィボナッチ」を表示させます。
衝撃波とジグザグを見極めるための作業
■0-2チャネルラインを引く
■1波動目の×1.00と、×1.618にラインを引く(波の倍率)
作業といっても、この簡単な2つの作業だけです。とても簡単です。
この作業が終わると上のようなチャート画面になっていると思います。このようなチャートに仕上げておいて、次の3波動目の行方を見守ります。
■チャネルラインおすすめ記事
2つのポイントを越えてくるのを確認【3波展開時】
3波動目が始まってから行うカウント作業はさらに簡単です。
前段の作業で表示させた2つのポイントを越えてくるかどうかを確認するだけです。
3波動目が0-2チャネルラインと1波動目×1.618ラインを実線で越えてくる=衝撃波(推進波トレンド)であることが濃厚
※上のチャートでは、0-2チャネルラインの中で段階の違う推進波の2つの山(見込み波)を作り、その後に勢いよく×1.618ラインを越えています(明確にトレンド転換が確認できるまでには時間がかかる)。
※エントリーポイントは2波動目終点、もしくは3-2波動目終点付近が理想的(このポイントで波に乗れれば、その後一度も損益を抱えることがない)。
ただし、残念なことに必ず衝撃波であるとまでは言い切れません。なぜなら、ジグザグのc波は上位の段階の目標ポイントに到達するため、稀にa波×2.618などと大きくなることがあるからです。
逆に、3波動目が1波動目×1.618ラインを越えてこれないから衝撃波ではないということでもありません(5波延長型衝撃波は、エクステンションをする要因の違いによって、1波動目×1.618ラインを3波動目で越えてくることもあれば、5波動目で越えてくることもある)。
このようなダマシに合わないために「フラクタルの縦軸を使い上位の段階の波動展開を常に確認しておく」ことが大切。
付け加えると、1波動目×1.618ラインは、実線で越えてくることを確認します。ヒゲの部分だけ越えて、結果「ジグザグだった!」ということはよくあります。実線で越えてくるのが理想的です。
3波動目が始まってからの作業で行うおすすめの作業がひうひとつあります。
それは、3波動目の内部波動にも同様の作業を行うことです。
衝撃波の内部波動3波動目はそれ自体衝撃波で展開されます。したがって、チャネルラインとフィボナッチが機能します。
この作業を行うと、3波動目の終点をさらに深く捉えることができるようになってきます。
上は、延長波の3波動目(5波延長型衝撃波)をチャネリングをしたチャートです。
引いているチャネルはのちほど説明する2-4チャネルで、3波動目はこの2-4チャネルの3波ラインタッチで終点を迎えていることが確認できると思います。
この衝撃波のチャネリングは、どの段階でもとても機能するのでおすすめです。
4波動目終点/5波動目始点の見極める作業【3波終了時】
次は、3波動目が終わってからの作業です。
この作業は、4波動目終点の見極めのために行います(言い換えれば5波動目がどこから始まるのかを推定するために行う作業)。
まずは4波動目の特徴を確認します。
3波延長型衝撃波の修正4波動目には以下のような特徴があります。
3波延長型衝撃波/修正4波動目の特徴
■修正4波動目は浅いリトレースで横ばいの修正波が現れ易い(波の個性)
■修正4波動目は1-3チャネルを越えて(もしくはタッチ)からスタートする
■フィボナッチ・リトレースメントでは3波×0.382、0~3波×0.382となるこが多い
■0-2チャネルラインでサポートされることがある
■前の3波動目の4波最安値でよくサポートされる(前の3波動目が3波延長型の場合)
3波延長型衝撃波の修正4波動目は、その多くが浅いリトレースで終わります。調整パターンもフラット修正波、横ばいの複合型修正波、トライアングル修正波などが現れてきます。
そして、ほとんど4波動目は1-3チャネルラインを越える(もしくはタッチする)まで継続するという特徴があります。。
※1-3チャネルは、1波と3波の終点を結んだラインと平行に2波終点から引いたチャネルライン。
この1-3チャネルを意識しておくと4動目のB波などのダマシに合うことは無くなるはずです。
そのサポートは、上記のフィボナッチ・リトレースメント、エリオット波動のセオリーのポイント、0-2チャネルラインのうちのいずれかになり易く、またこれらのポイントがいくつも重なってくることもよくあります。
3波動目が終わってからのカウント作業は、これらのポイントをチャートに落とし込んでいくことです。
1-3チャネルを引くと、上のようなチャートになります。
4波動目は、1-3チャネルを越えて3波×0.382、または0~3波×0.382ラインをヒゲの部分だけ越えてから5波動目のスイッチが入るというのがその典型的なパターンですが、このユーロドル衝撃波の4波動目は、1-3チャネルを越えて0-2チャネルラインでサポートされるという結果でした。
0-2チャネルラインでサポートされるというパターンはよくあります。エリオット波動のカウントの邪魔にならないのであれば、0-2チャネルラインはそのまま残しておくことをおすすめします。
ちなみに、このユーロドル衝撃波の延長波である3波動目は、5波動目がエクステンションをした5波延長型衝撃波なので、4波動目安値でサポートされるというエリオット波動のセオリーは使えません。
チャネルで5波動目終点を推定する【4波終了時】
4波動目が終わってからのカウント作業は、5波動目の終点(言い換えると3波延長型衝撃波全体の終点)を推定するために行います。
3波延長型衝撃波のクライマックスである最後の5波動目は、2-4チャネルラインの1波ライン(稀に3波ライン)でその終点をよく迎えます。
※2-4チャネルは、2波と4波の終点を結び、それと平行に1波終点からラインを引いたチャネル。ただし、3-2波と4波の終点を結んだチャネルが機能することがあるので、2-4チャネルだけは2つ引くことをおすすめします。
2-4チャネルラインを引くと、上のようなチャートになります。
このユーロドル日足チャートの衝撃波は、2-4チャネルの1波ラインタッチで5波動目(衝撃波全体)が終点を迎えています。
この2-4チャネルを使うと衝撃波の終点を推定することが可能となり、実際のトレードでは大きな武器となります。
ただ、5波動目の終点を2-4チャネルで推定する場合に、注意してほしいポイントがいくつかあります。
2-4チャネルで5波動目終点を推定する場合に注意するポイント
■一時的にチャネルを上抜けてることがある(Throe-over 上放れ)
■5波動目が3波動目の終点を越えてこれないことがある(フェイラー)
■5波動目がエクステンションをしてくることがある(波の延長)
トレンド終わりと言っても、その最後は必ずと言っていいほど勢いがあります。
ボラティリティが高まる時間に最後の5波動目を迎えた場合などは、2-4チャネルを一時的に行き過ぎてしまうこともあります(Throe-over 上放れ)。
ただ、行き過ぎてもヒゲの部分だけで、実線で行き過ぎることはあまりありません。
また、逆に5波動目が3波動目の終点を越えてこれないことがあります。これをフェイラー(トランケーション)といいます。
3波動目があまりにも遠くへ進んだ場合に起こることがあります(上のユーロドル日足チャート5波動目も5-5波動目がフェイラー気味)。
そして、〇3波動目の大きさがそれほど大きくない、〇4波動目で大きくリトレースした、〇通常の3波延長型衝撃波では上位の段階の目標に到達できない場合は、最後の5波動目がエクステンション(波の延長)をしてくることがあるので注意が必要です。
※このような場合には2-4チャネルの3波ラインが終点になることが多い
繰り返しになりますが、この最後の5波動目自体も推進波です。なので、この5波動目の内部波動にも、同様の作業を行うことができす(さらに深く終点を推定できるようになります)。
■衝撃波のエクステンションおすすめ記事
ここまでの作業だけで充分カウントの精度を上げることができるのですが、さらにカウントの精度を上げる方法があります。
黄金区分でエリオット波動のカウント精度上げる
その方法とは、フィボナッチ黄金区分(黄金分割)を使うものです。
エリオット波動の数学的な基盤であるフィボナッチは、「リトレイスメント」や「波の倍率」だけではなく、フォーメーション全体にも現れてきます。
2つの衝撃波に現れるフィボナッチ黄金比率
上の図は、フィボナッチ黄金区分(黄金分割)が衝撃波全体にどのように現れるのかをイメージしたものです。
エリオット波動の3つの衝撃波には、それぞれに理想的な形というものがあり、またその形に近づこうとする傾向があります。
特に3波延長型衝撃波と5波延長型衝撃波はその傾向が強く現れ、4波動目の最安値(強気相場のケース)で衝撃波全体がフィボナッチの黄金比率で分割される形によくなります。
※4波動目の最安値は、4波動目の終点や稀に4波動目の最高値になることもあります。
3波延長型衝撃波の黄金区分
■4波動目最安値で0.618と0.382で分割される
5波延長型衝撃波はの黄金区分
■4波動目最安値で0.382と0.618で分割される
これらは、あくまでも目安となるものですが、このような形になる強い傾向があります。
このフィボナッチ黄金区分と、チャネルラインを組み合わせれば、衝撃波の終点をピンポイントで狙うことも不可能ではありません。
■フィボナッチおすすめ記事
黄金区分とチャネリングで内部波動までカウントしたチャート
上は、黄金区分とチャネリングで内部波動までエリオット波動カウントしたチャートの完成形です。
フラクタルの縦軸である内部波動の各衝撃波がチャネルラインに沿って進んでいることが確認できるとともに、その各衝撃波が黄金比率で理想的な形で区分されていることもあわせて確認できます。
冒頭ではランダムで上昇しているようにしか見えなかったユーロドル日足チャート。
しかし、このエリオット波動カウントチャートの完成形でみると、エリオット波動のサイクルが顕在化しています。
そして、相場がフラクタル構造になっていて、しかもその各段階が正確にエリオット波動サイクルを刻みながら上昇しているということがはっきりと確認できるようになっています。
エリオット波動の数え方 まとめ
為替相場において各通貨ペアは、関連通貨に影響を与えたり、また逆に影響を受けたりしながらそのサイクルが進んでいきます。
なので、為替相場では今回カウントした衝撃波のような理想的な推進波ばかり現れることはありません。
しかし、フィボナッチとチャネルを使って波を数えることにより、恣意的要因を排除して、カウント精度をかなり上げることができるようになるはずです。
エリオット波動を始めたばかりで「波はどうやって数えるの?」と思われている方は、この手法を試してみてください。
きっとエリオット波動の波が数えられるようになり、また相場がエリオット波動サイクルで進んでいると確信できるようになると思いますよ。
以上、エリオット波動の数え方! 精度を上げるカウント手法でした。
■エリオット波動のまとめ記事
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