【エリオット波動】フィボナッチの基礎知識とその手法

エリオット波動では、様々な局面でフィボナッチ比率が現れてきます。なぜなら、エリオット波動理論は、このフィボナッチが数学的基盤になっているからです。



R.N.エリオット(1871~1948)は、1938年に出版した「The Wave Principle 波動原理」でエリオット波動を世に知らしめ、そして、次に出版した「Nature's Law 自然の法則」で、エリオット波動理論はフィボナッチから成り立っていることを説明しています。

どうやらエリオット波動では、同じ自然の法則であるフィボナッチは欠かせないものであるようです。

そこで今回は、エリオット波動を使って相場の波を数える場合、どのようなところにフィボナッチが現れてくるのか、また実際のトレードでフィボナッチをどのように使いこなすのかなど、その知識と手法について綴ってみたいと思います。

ひょっとすると、このフィボナッチを使いこなすことがトレードの勝率を上げる近道になるのかもしれません。



エリオット波動とフィボナッチのアイキャッチ画像




フィボナッチはエリオット波動の数学的基盤である





調整局面である「押し、戻り」



「押し目買い」、「戻り売り」という為替用語があります。

価格が上昇、又は下降している相場で、「もっと上がるだろう(下がるだろう)」と期待してエントリーしたものの、その後予想していた方向とは逆方向に動き、大きく損をしたという苦い経験は誰しもあると思います。

そういうポイントでのエントリーを避け、上昇トレンド、又は下降トレンドの一時的な調整局面を待ってエントリーすることが押し目買いと戻り売りです。

実はこの「押し・戻り」は、エリオット波動とフィボナッチに大きく関係しています。





エリオット波動の修正波とフィボナッチの関係



エリオット波動とフィボナッチ比率の関係


エリオット波動では、5つの波でトレンド方向に勢いよく進み(推進波)、3つの波又はその変形(修正波)でその動きを調整します。

この合計8波がひとつのサイクルとなり、そしてこの8波1サイクルを繰り返しながら、波のようにトレンド方向へ進んでいきます。

要するに、トレンド方向に進む動きを一時的に調整する3つの波(又はその変形)である修正波が「押し・戻り」になるわけです。

エリオット波動のフォーメーションで具体的に考えてみます。

トレンド方向に進む5つの波は推進波と言われ、その内部波動は、5波動構成(1波動目)-3波動構成(2波動目)-5波動構成(3波動目)-3波動構成(4波動目)-5波動構成(5波動目)です。

メジャートレンドの方向に進むのは1波動目3波動目5波動目で、それ自体推進波で展開されます。その動きを調整するのが2波動目4波動目で、修正波で展開されます。

つまり、推進波のフォーメーションでは、修正2波動目と修正4波動目が「押し・戻り」になるわけです。

そして、このポイントで「どこまで押してくるか(戻ってくるか)」というおおよその目安を教えてくれるのがエリオット波動理論の数学的基盤であるフィボナッチで「フィボナッチ・リトレイスメント」と言われます(テクニカル分析手法の一種)。




自然の法則であるフィボナッチ



自然の法則フィボナッチのイメージ


フィボナッチ数列とは



レオナルド・フィボナッチ(1170年頃~1250年頃)は「算盤の書」で、ローマ数字に対するアラビア数字の効率性を説き世に知られ、また「フィボナッチ数列」で後世に名を残しています。

フィボナッチ数列とは、1,1,2,3,5,8,13,21,34,55,89,144,233,377,610・・・・ と無限に続いていく数列で、どの項も直前の2つの項の和となります(たとえば、3+5=8、21+34=55)。




フィボナッチ比率とは



そして、この数列の任意の2つの数字から導き出されるのが「フィボナッチ比率」です。

主なフィボナッチ比率には以下のようなものがあります。

  • 0.236(たとえば55/233)
  • 0.382(たとえば34/89)
  • 0.618(たとえば8/13)
  • 1.618(たとえば55/34)
  • 2.618(たとえば233/89)

これらのフィボナッチ比率は、エリオット波動のフィボナッチ・リトレイスメントで使われるもので、この他にも0.500、0.786、1.000、1.236、1.382などが使われます。

そしてこの他にもフィボナッチ数列には不思議な特徴があります。




フィボナッチ黄金比率とは



それは、後ろの数字で前の数字を割ると0.618に近づいて、逆に前の数字で後ろの数字を割ると1.618に近づいていく特徴です(この他にも、ひとつおきの数字で後ろの数字を前の数字で割ると2.618に近づくという性質もあります)。

この1.618(逆数0.618)は黄金比率と呼ばれ(最も安定している)、フィボナッチの中だけではなく、エリオット波動の比率分析においても特に注目される比率です(たとえば、3波動目の1波動目×1.618ラインは推進波と修正波の分岐点によくなります)。

また、これらのフィボナッチ数や比率は、海の渦巻き、台風の渦、貝殻の形、銀河系、花びら、ひまわりの種の配列など自然界にも現れています。フィボナッチがエリオット波動理論と同じく「自然の法則」と言われるのはこのためです。


以上、フィボナッチについてでした。

少しとっつきにくいと思われるかもしれませんが、相場のテクニカル分析でフィボナッチ比率を使うのであれば、詳しく知らなくても大丈夫です。

大事なのは、エリオット波動のどの部分で、どんなフィボナッチ比率が現れ易いのかを知っておくことです。




衝撃波に現れるフィボナッチ比率



まず3つの衝撃波の見極めが必要



トレンド方向に進む5つの波の推進波はそのほとんどが衝撃波の形で現れてくるので、フィボナッチ比率分析は衝撃波を中心に行うことになります。

ネット上には、簡単にフィボナッチ比率が計算できるようなツールもあるのですが、あまり機能しません。

なぜなら、衝撃波には3つの種類があり、それぞれに異なるフィボナッチ比率が現れてくるからです。

なので、エリオット波動でフィボナッチの比率分析をする場合、その前提として3つの衝撃波のフォーメーションや特徴などを理解しておく必要があります。

3つの衝撃波参考記事



理想的な3波延長型衝撃波(推進波)の一例


エリオット波動衝撃波のフィボナッチ比率


上の図はチャネルに沿って進んだ理想的な推進波の一例です(上昇トレンド)。

この推進波は3波動目がエクステンションした3波延長型衝撃波で、3つの衝撃波の中で最も多く現れてくるフォーメーションです。

この3波延長型衝撃波衝撃波の5つの波では、上図のようなポイントでフィボナッチ比率が現れてきます。




フィボナッチ・リトレイスメント



まずは、修正2波動目に現れるフィボナッチ比率です。

エリオット波動の修正2波動目は、急こう配の修正パターン(ジグザグなど)で、前の推進波(1波動目)の値幅を大きくリトレイスしてくるという波の特徴があります。

  • 修正2波動目=1波動目×0.500
  • 修正2波動目=1波動目×0.618

このフィボナッチ比率の辺りが強く意識されます。

ただ、1波動目の始点付近まで大きくリトレイスしてくることもあります(エリオット波動衝撃波のルール 2波動目は1波動目の始点を越えない)。


次に修正4波動目。

修正4波動目は、横這いの修正パターン(トライアングルやフラットなど)になることが多く、トレンド方向に進んだそこまでの値幅を大きくリトレイスしてくることはあまりありません。

  • 修正4波動目=3波動目×0.382
  • 修正4波動目=1波動目→3波動目×0.382

修正4波動目のリトレイスはこのフィボナッチ比率辺りでよく反転してきます。

※一般的には、2波動目は急こう配、4波動目は横這いの修正パターンによくなりますが、2波動目が横這いの展開になることもあります。その場合、修正4波動目はオルターネーション(交互の法則)で急こう配の展開によくなります。


「買えば下がり、売れば上がるのなぜ?」と悩まれている方は、このフィボナッチ比率を使って「押し・戻り」を待ってからエントリーしてみてください。きっとローリスク・ハイリターンなトレードができるようになると思います。




推進波の倍率に現れるフィボナッチ比率



ここまで2波動目と4波動目の「押し・戻り」に現れるフィボナッチ比率を見てきましたが、トレンド方向に進む1波動目、3波動目、5波動目の大きさにもフィボナッチ比率が現れてきます。

先程のフィボナッチ・リトレイスメントはエントリーのタイミグを計るために使うのに対し、推進波の倍率は主に利益確定のタイミングを計るために使います。


3波延長型衝撃波の3波動目と5波動目の倍率



3波延長型衝撃波の3波動目(推進波)は、

  • 3波動目=1波動目×1.618、2.618、3.00、4.00、4.236


よくこの大きさになります。

また、3波延長型衝撃波の5波動目(推進波)は、

  • 5波動目=1波動目×1.00、1.618
  • 5波動目=3波動目×0.618

このフィボナッチ比率の辺りまでよく大きくなります。


その他の衝撃波に現れる波動の倍率


その他、1波延長型衝撃波は、

  • 3波動目→5波動目=1波動目×0.618

5波延長型衝撃波は、

  • 5波動目=1波動目→3波動目×1.618


このような倍率になることもあります。




衝撃波のフィボナッチ黄金区分


フィボナッチ黄金区分


2波動目・4波動目のリトレイスや、1波動目・3波動目・5波動目の波の倍率だけではなく、衝撃波全体にもフィボナッチが現れてきます。

衝撃波には理想的な形というものがあり、常にその形に近づいていこうする性質があるようです。

その多くは、修正4波動目の高値、安値、そして終点で衝撃波全体がフィボナッチ黄金比率に区分されます。

※上図は上昇トレンドのケースです

3波延長型衝撃波のフィボナッチ黄金区分


3波延長型衝撃波である場合は、4波動目安値(又は終点や高値)で衝撃波全体が0.618と0.382で区分される形によくなります。


5波延長型衝撃波のフィボナッチ黄金区分


5波延長型衝撃波の場合には、逆に4波動目の安値(又は終点や高値)で衝撃波全体が0.382と0.618に区分される形によくなります。



このフィボナッチ黄金区分は、先程の波動の倍率と同じく利益確定のタイミングに使えますが、逆張りで反対方向にポジションを建てる場合にも使えます。

つまり、ドテン売りやドテン買いといった芸当もできるようになってくるわけです。


また、これらを併用しながらタイミングを計ると、衝撃波の終点をピンポイントで予測できるようになってきます。



ここまで衝撃波(推進波)に現れるフィボナッチを見てきましたが、3つの波(又はその変形)の修正波の副次波にもフィボナッチは現れてきます。



修正波に現れるフィボナッチ比率




修正波副次波の倍率

修正波に現れるフィボナッチ比率





フィボナッチはトレンド方向に進む5つの波の推進波だけではなく、その動きを調整する3つの波(又はその変形)の修正波にも現れてきます。

フィボナッチの比率分析でそのフォーメーションの終点を予測しておくと、次に展開される推進波の波(3波、5波、そしてc波)にタイミングよく乗れるようになってきます。



  • ジグザグでは、c波動=a波動×1.00、×1.618、×0.618によくなります。稀に×2.618などと大きくなる場合もあります。また、c波はa波を0.500や0.618リトレイスした地点からよく始まります。
  • フラットでは、c波動=b波動=a波動×1.00が基本ですが、c波動=a波動×1.618になることもあります(その多くはc波衝撃波の5波動目がエクステンションしてくる)。
  • 拡大フラットでは、c波動=a波動×1.618が基本ですが、×2.00、×2.618などと大きくなることもあります。また、b波=a波×1.236、×1.382の関係にもよくなります。
  • 複合型修正波のダブルジグザグでは、Y波動=W波動×1.00、稀に×1.618まで大きくなることがあります。


あくまでも目安となるものですが、よくこれらのフィボナッチ比率が現れてきます。

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また、トライアングル修正波の副次波は、少なくとも2つの交互の波動が0.618の関係になり、また隣同士の波が0.618の関係になることもよくあります。

トライアングルの副次波の特徴については「トライアングル 三角持ち合いはE波終点を狙え!」をご覧ください。






フィボナッチ黄金比率で衝撃波を見極める


衝撃波の見極めに使われるフィボナッチ黄金比率


エリオット波動ではフィボナッチ黄金比率1.618(逆数0.618)は特に注目され、衝撃波を見極めるポイントでも強く意識されます。

修正波の副次波に現れるフィボナッチで気付いた方もいるかと思いますが、修正波のc波動はその多くがa波動×1.618以内に収まります。

つまり、3波動目が1波動目×1.618を実線(ヒゲではなく)で越えてくると、そのフォーメーションは修正波ではなく3波(又は5波)延長型衝撃波である可能性がグッと高くなるわけです。

ただ、ジグザグのc波などはa波×2.618などと大きくなる場合もあるので、越えたからといって必ず衝撃波になるというわけではありません。

また逆に、越えないから衝撃波ではないということでもありません。3波動目が1波動目とさほど変わらない大きさである場合も衝撃波に発展することもあります。
※このようなケースでは、その多くは5波動目がエクステンションする5波延長型衝撃波になる

あくまでも目安となるものですが、この1.618ラインは特に強く意識され、この付近は売りと買いが交錯して激しい動きによくなります。




実際のチャートでフィボナッチを確認してみる

実際の為替チャートのフィボナッチ比率
衝撃波に現れるフィボナッチを実際の為替チャートで確認して見たいと思います。上はユーロドル為替チャートに現れた3波延長型衝撃波です。


フィボナッチ・リトレイスメント
  • 2波動目1波動目×0.618
  • 4波動目3波動目×0.382

波動の倍率
  • 3波動目1波動目×3.00
  • 5波動目3波動目×0.618

フィボナッチ黄金区分
  • 衝撃波全体(3波延長型衝撃波)は4波動目安値で0.618と0.382に区分
  • 延長波3波動目(5波延長型衝撃波)は4波動目安値で0.382と0.618に区分
  • 5波動目(3波延長型衝撃波)は4波動目安値で0.618と0.382に区分
  • 3-3波動目(5波延長型衝撃波)は4波動目安値で0.382と0.618に区分
  • 3-5波動目(3波延長型衝撃波)は4波動目安値で0.618と0.382に区分

エリオット波動はフラクタル構造となっているので、衝撃波(推進波)の内部波動も8波1サイクルで展開されます。そして、その内部波動にも同じようにフィボナッチ比率が現れてきます。

若干行き過ぎているものや届いていないものなどもありますが、こうしてみるとエリオット波動とフィボナッチは、やはり自然の法則であると言えるのではないでしょうか。





フィボナッチを使った取引手法



フィボナッチが重なるポイントを狙う


フィボナッチを使った取引手法の一例



このフィボナッチを使った取引手法を考えてみます。

エリオット波動はフラクタル構造になっているため、各段階の波動が節目のポイントに向けて同時並行で進んでいきます。そのため、その節目のポイントではフィボナッチが重なって現れてきます。

上の図は、3波延長型衝撃波の修正4波動目拡大フラットから、5波動目の終点までを狙ったトレードの一例です。


エントリーポイント

  • 3波動目(又は1→3波動目)の0.382リトレイス
  • 拡大フラットc波=a波×1.618
  • 拡大フラットc波5波延長型衝撃波のフィボナッチ黄金区分

利益確定ポイント


  • 3波延長型衝撃波全体のフィボナッチ黄金区分
  • 5波動目副次波  5波=1波×1.00


あくまでも一例ですが、このようにフィボナッチが重なれば重なるほど、そこが波の節目になる可能性が高くなり、エントリーや利益確定の絶好のポイントになることがよくあります。



フィボナッチのまとめ


  • エリオット波動はフィボナッチが数学的基盤となっいる
  • フィボナッチはエリオット波動と同じく自然の法則である
  • 衝撃波の様々な場所にフィボナッチが現れる(リトレイスメント・倍率・黄金区分)
  • 修正波の副次波にもフィボナッチが現れる
  • フィボナッチ黄金比率1.618は衝撃波と修正波の分岐点によくなる
  • フィボナッチが重なるポイントは波の節目によくなる

※エリオット波動については「エリオット波動理論を使いこなす為の基礎知識」をご覧ください
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以上、今回はフィボナッチを掘り下げてみました。




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