皆さんは、エリオット波動でどの足を使っていますか?
エリオット波動を使い始めて間もない方は、「どの足を使ってカウントすればいいの?」と迷ってしまう方が多いようです。
たしかに、ネット上などでは、さまざまな足を使ったカウントを目にします。日足チャートを使ったものもあれば、4時間足チャートを使ったものもあります。
実際、エリオット波動の生みの親であるラルフ・ネルソン・エリオット(1871~1948)は、手書きでダウ平均の1時間ごとの終値チャートを付けることを習慣にしていたそうです。
人によりメインで使っている足は異なるようです。
そこで、今回のエリオット波動入門では、エリオット波動のカウントはどの足でするのが最善なのか? また、足はどのように使えばいいのか? について考えてみます。
エリオット波動は「ある特定の足にしか機能しないのでは?」と考えている方もいるかと思いますが、実はそうではありません。
結論を先に言うと、エリオット波動はどの足を使っても機能します。
「でも、足が違えばトレンドやカウントも違うでしょ! どの足でカウントするのが正しいの?」
と思われるかもしれませんが、どの足でカウントしても構いません。
週足、日足、時間足、そして分足でもエリオット波動を使って相場を分析することができ、違う足を使うことによっての良し悪しはあまりありません。
その理由は「相場はフラクタルな構造である」からです。
そして、そのフラクタル構造を使ってうまく足を使えるようになると、エリオット波動のカウント精度は格段に上がってきます。
今回はこの辺りを掘り下げてみたいと思います。
エリオット波動での足の選び方と使い方を解説
目 次
■相場はフラクタルな構造=どの足を選んでもOK
■エリオット波動で代表的な2つの足の使い方
■【エリオット波動】足の選び方と使い方のまとめ
「フラクタル?」
初めて耳にする方も多いと思います。
フラクタルとは、フランスの数学者ブノワ・マンデルブロによって導入された概念です。
※ブノワ・マンデルブロ(1924~2010 本人はバヌワ・マンデルブロートと発音)
■パシフィック・ノースウエスト国立研究所フェロー ■IBM・トーマス・J・ワトソン研究所名誉フェロー ■イェール大学名誉教授
彼の研究テーマは自己相似。
自己相似とは全体と部分とが相似(再帰)になっていることをさす言葉で、自然界によく現れる構造だといわれています。
ブノワ・マンデルブロは、金融市場の価格変動が自己相似であることに気づき、そこで導入されたのがフラクタルという概念です。
上の図は、フラクタルな構造を表している「シェルピンスキーのギャスケット」と呼ばれる図形です。
この図形は全体的に見るとひとつの三角形。
そして、よく見るとその三角形は4つの三角形が集まってできあがっています。さらに注視すると、その4つの三角形それぞれも同じく4つの三角形で構成されています。
結果、このような構造ではどの部分を切り取って見ても相似の三角形が現れます。このような構造がフラクタル。
このフラクタルな構造は海岸線、シダの葉など自然界によくみられるものですが、実は株式市場や為替市場の相場もフラクタルな構造になっています。
さらに言えば、相場のフラクタル構造は「自然の法則」であるエリオット波動と深い関係にあります。
先ほどの「シェルピンスキーのギャスケット」ではどこを切り取って見ても相似の三角形が現れてきましたが、株式市場や為替市場などの相場ではエリオット波動の1サイクルがその役割を果たします。
エリオット波動の1サイクル
力強く相場を押し進めていく5つの波の推進波(Motive Waves)と、その動きを調整する3つの波の修正波(Corrective Waves)の合計8波がエリオット波動の1つのサイクル
相場は、このエリオット波動サイクルが繰り返し現れることにより、波のように寄せては返しながら進んでいきます。
そして、このエリオット波動サイクルの繰り返しが完璧に進むと、そのサイクルよりもひと回り大きなサイクルができあがります。
こうしてできるのがフラクタルな次元=相場の段階(Degree)。※上図は3つの段階が確認できる。
このようなフラクタル構造になっている相場では、結果どの足(段階)を見ても相似のエリオット波動サイクルが現れてくることになります。
週足では上昇トレンドでも日足では下降トレンド、そして分足では上昇トレンドなどと、見る足によってトレンドやエリオット波動のカウントは異なるのは、違う段階のエリオット波動サイクルを見ているためです。
各段階のエリオット波動サイクルは、それぞれ正確にサイクルを刻みながら、目標に向けて密接に連動しながら同時並行で進んでいます。
なので、エリオット波動はある特定の足にか機能しないということはなく、どの足を使っても機能します。
エリオット波動でメインで使う足は「自分のトレードスタイルに合わせて決める!」で問題ないというわけです。
ただ、「ひとつの足しか見ないよ!」というのでは、エリオット波動を使いこなせているとはいえません。なぜなら、足を上手に使うとエリオット波動のカウント精度は格段に上がってくるからです。
次はエリオット波動における足の使い方。
ひとつの足だけで他の足はあまり見ないというトレーダーもいますが、エリオット波動使いの強者は必ずと言っていいほど複数の足をうまく使いながら相場を分析しています。
エリオット波動での足の使い方はいろいろありますが、今回はその代表的なものを2つ紹介します。
一つ目は上位の足のうまい使い方。
エリオット波動では、その足でそれまでの横の流れ(横軸)を確認してカウントしていくのが基本です。
しかし、その足だけでは次の展開を絞り切れない局面に出くわすことがよくあります。
そのような場面でよく使われるのが、上位の段階の足を確認して次の展開を見極めるというテクニック。
フラクタルな構造を利用して、相場の縦軸を確認するとカウントの精度がグッと上がってきます。
上位の足を確認すると、次の展開を見極めることができるようになります。
ジグザグ修正波と衝撃波の見極めはその一例。
5つの波で始まるフォーメーション
■ジグザグ修正波 5-3-5 修正波トレンド
■衝撃波 5-3-5-3-5 推進波トレンド
どちらも5つの波で始まるフォーメーションですが、テクニカル的に修正波トレンドと推進波トレンドの違いがあり、この見極めはエリオット波動でとても大事なポイント。
エリオット波動で相場を分析すると、そのフォーメーションがジグザグ修正波なのか、それとも衝撃波なのかと迷う場面によく出くわします。
5つの波の推進波が現れた局面で、その足の横軸を確認してc波の推進波ではないと確認できているとします(上図左側)。
この押し目はチャンス。
「でも、この推進波がジグザグ修正波のa波なのか、それとも衝撃波の1波動目なのかは分からないでしょ!」
その通りです。
なので、このようなときに縦軸を使います。
フラクタルの縦軸を使って上位の段階の足を確認すると、どちらのフォーメーションなのかを絞り込むことがよくできます。
上図右側が上位の段階の足です。
この段階で見ると、3波動目が1波動目×3.00の大きさで、衝撃波のフォーメーションである可能性が高いことが分かります。
しかも、すでに■1-3チャネルを越えてきている■3波動目のFR38.2を達成していることから、5波動目の足掛かりの推進波であることが濃厚。
「よし! 衝撃波の5波動目を狙ってこの押しでエントリーだ!」
あくまでも一例ですが、上位の段階の足を巧みに使うとこのようなことができてしまいます。
ちなみに、さらにもうひとつ上の段階の足まで確認すると、カウントの精度がより一層に上がるのはいうまでもありません。
二つ目は下位の足のうまい使い方。
エリオット波動のフォーメーションには、それぞれに理想的な形というものがあります。しかし、実際の相場では、いつも理想的な形のフォーメーションが現れてくるわけではありません。
ときにその段階の足だけではフォーメーションの判断が付かないこともあります。
このようなとき、その段階のフォーメーションを見極めるために使うのが下位の段階の足です。
相場のトレンドを見極める上で大きなポイントとなるのが「どちらの方向に衝撃波(推進波)が現れているか」です。
ここを見誤るとトレンドの波にうまく乗ることはできません。
しかし、衝撃波はジグザグと同じく5つの波が続けて現れるフォーメーションであるため、「どっち?」とその判断が付かないケースに出くわすことがよくあります。
このようときも縦軸が使えます。
下位の段階の足を確認するとジグザグと衝撃波のフォーメーションを見極めることができるようになります。
「これは明らかにジグザグだ!」と思えるような展開であっても、実は「衝撃波だった!」ということもあります(その逆もまた然り)。
たとえば、4波動目で深くリトレース→5波動目がエクステンション。このような5波延長型衝撃波はジグザグ修正波に見えてしまうことがあるというのはその一例。
なので、たとえ「これはジグザグだ!」と思えるような展開であったとしても、できるだけ下位の足を使ってフォーメーションを見極めるのが理想的。
下位の足を使えば、その足でははっきりと見えなかった波が見えるようになってくるはずです。
相場はフラクタルな構造なので、どの足でもエリオット波動は使えます。
さらに、その足の横軸だけではなく、フラクタルの縦軸の足を使うことによってエリオット波動のカウント精度は格段に上がってきます。
エリオット波動の一時的な行き過ぎを見極めたり、エントリーのタイミングを計るなど、縦軸の足はいろいろな使い方がありますが、今回はその代表的な2つの使い方を紹介しました。
ぜひ皆さんも上位の足や下位の足を使ってみてください。きっと実際のトレードの勝率もグッと上がってくると思いますよ。
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エリオット波動での足の選び方と使い方を解説
エリオット波動は「ある特定の足にしか機能しないのでは?」と考えている方もいるかと思いますが、実はそうではありません。
結論を先に言うと、エリオット波動はどの足を使っても機能します。
「でも、足が違えばトレンドやカウントも違うでしょ! どの足でカウントするのが正しいの?」
と思われるかもしれませんが、どの足でカウントしても構いません。
週足、日足、時間足、そして分足でもエリオット波動を使って相場を分析することができ、違う足を使うことによっての良し悪しはあまりありません。
その理由は「相場はフラクタルな構造である」からです。
そして、そのフラクタル構造を使ってうまく足を使えるようになると、エリオット波動のカウント精度は格段に上がってきます。
今回はこの辺りを掘り下げてみたいと思います。
エリオット波動での足の選び方と使い方を解説
目 次
■相場はフラクタルな構造=どの足を選んでもOK
- ブノワ・マンデルブロのフラクタル
- どこを切り取って見ても相似の形
- 相場もフラクタル構造【エリオット波動サイクル】
■エリオット波動で代表的な2つの足の使い方
- 上位の足のうまい使い方
- 【一例】上位の足で次の展開を見極める
- 下位の足のうまい使い方
- 【一例】下位の足でジグザグと衝撃波を見極める
■【エリオット波動】足の選び方と使い方のまとめ
相場はフラクタル=どの足を選んでもOK
ブノワ・マンデルブロのフラクタル
「フラクタル?」
初めて耳にする方も多いと思います。
フラクタルとは、フランスの数学者ブノワ・マンデルブロによって導入された概念です。
※ブノワ・マンデルブロ(1924~2010 本人はバヌワ・マンデルブロートと発音)
■パシフィック・ノースウエスト国立研究所フェロー ■IBM・トーマス・J・ワトソン研究所名誉フェロー ■イェール大学名誉教授
彼の研究テーマは自己相似。
自己相似とは全体と部分とが相似(再帰)になっていることをさす言葉で、自然界によく現れる構造だといわれています。
ブノワ・マンデルブロは、金融市場の価格変動が自己相似であることに気づき、そこで導入されたのがフラクタルという概念です。
どこを切り取って見ても相似の形
上の図は、フラクタルな構造を表している「シェルピンスキーのギャスケット」と呼ばれる図形です。
この図形は全体的に見るとひとつの三角形。
そして、よく見るとその三角形は4つの三角形が集まってできあがっています。さらに注視すると、その4つの三角形それぞれも同じく4つの三角形で構成されています。
結果、このような構造ではどの部分を切り取って見ても相似の三角形が現れます。このような構造がフラクタル。
このフラクタルな構造は海岸線、シダの葉など自然界によくみられるものですが、実は株式市場や為替市場の相場もフラクタルな構造になっています。
さらに言えば、相場のフラクタル構造は「自然の法則」であるエリオット波動と深い関係にあります。
相場もフラクタル構造【エリオット波動サイクル】
先ほどの「シェルピンスキーのギャスケット」ではどこを切り取って見ても相似の三角形が現れてきましたが、株式市場や為替市場などの相場ではエリオット波動の1サイクルがその役割を果たします。
エリオット波動の1サイクル
力強く相場を押し進めていく5つの波の推進波(Motive Waves)と、その動きを調整する3つの波の修正波(Corrective Waves)の合計8波がエリオット波動の1つのサイクル
相場は、このエリオット波動サイクルが繰り返し現れることにより、波のように寄せては返しながら進んでいきます。
そして、このエリオット波動サイクルの繰り返しが完璧に進むと、そのサイクルよりもひと回り大きなサイクルができあがります。
こうしてできるのがフラクタルな次元=相場の段階(Degree)。※上図は3つの段階が確認できる。
このようなフラクタル構造になっている相場では、結果どの足(段階)を見ても相似のエリオット波動サイクルが現れてくることになります。
週足では上昇トレンドでも日足では下降トレンド、そして分足では上昇トレンドなどと、見る足によってトレンドやエリオット波動のカウントは異なるのは、違う段階のエリオット波動サイクルを見ているためです。
各段階のエリオット波動サイクルは、それぞれ正確にサイクルを刻みながら、目標に向けて密接に連動しながら同時並行で進んでいます。
なので、エリオット波動はある特定の足にか機能しないということはなく、どの足を使っても機能します。
エリオット波動でメインで使う足は「自分のトレードスタイルに合わせて決める!」で問題ないというわけです。
ただ、「ひとつの足しか見ないよ!」というのでは、エリオット波動を使いこなせているとはいえません。なぜなら、足を上手に使うとエリオット波動のカウント精度は格段に上がってくるからです。
エリオット波動で代表的な2つの足の使い方
次はエリオット波動における足の使い方。
ひとつの足だけで他の足はあまり見ないというトレーダーもいますが、エリオット波動使いの強者は必ずと言っていいほど複数の足をうまく使いながら相場を分析しています。
エリオット波動での足の使い方はいろいろありますが、今回はその代表的なものを2つ紹介します。
上位の足のうまい使い方
一つ目は上位の足のうまい使い方。
エリオット波動では、その足でそれまでの横の流れ(横軸)を確認してカウントしていくのが基本です。
しかし、その足だけでは次の展開を絞り切れない局面に出くわすことがよくあります。
そのような場面でよく使われるのが、上位の段階の足を確認して次の展開を見極めるというテクニック。
フラクタルな構造を利用して、相場の縦軸を確認するとカウントの精度がグッと上がってきます。
【一例】上位の足で次の展開を見極める
上位の足を確認すると、次の展開を見極めることができるようになります。
ジグザグ修正波と衝撃波の見極めはその一例。
5つの波で始まるフォーメーション
■ジグザグ修正波 5-3-5 修正波トレンド
■衝撃波 5-3-5-3-5 推進波トレンド
どちらも5つの波で始まるフォーメーションですが、テクニカル的に修正波トレンドと推進波トレンドの違いがあり、この見極めはエリオット波動でとても大事なポイント。
エリオット波動で相場を分析すると、そのフォーメーションがジグザグ修正波なのか、それとも衝撃波なのかと迷う場面によく出くわします。
5つの波の推進波が現れた局面で、その足の横軸を確認してc波の推進波ではないと確認できているとします(上図左側)。
この押し目はチャンス。
「でも、この推進波がジグザグ修正波のa波なのか、それとも衝撃波の1波動目なのかは分からないでしょ!」
その通りです。
なので、このようなときに縦軸を使います。
フラクタルの縦軸を使って上位の段階の足を確認すると、どちらのフォーメーションなのかを絞り込むことがよくできます。
上図右側が上位の段階の足です。
この段階で見ると、3波動目が1波動目×3.00の大きさで、衝撃波のフォーメーションである可能性が高いことが分かります。
しかも、すでに■1-3チャネルを越えてきている■3波動目のFR38.2を達成していることから、5波動目の足掛かりの推進波であることが濃厚。
「よし! 衝撃波の5波動目を狙ってこの押しでエントリーだ!」
あくまでも一例ですが、上位の段階の足を巧みに使うとこのようなことができてしまいます。
ちなみに、さらにもうひとつ上の段階の足まで確認すると、カウントの精度がより一層に上がるのはいうまでもありません。
■実際のチャートでジグザグと衝撃波を見極めた例
下位の足のうまい使い方
二つ目は下位の足のうまい使い方。
エリオット波動のフォーメーションには、それぞれに理想的な形というものがあります。しかし、実際の相場では、いつも理想的な形のフォーメーションが現れてくるわけではありません。
ときにその段階の足だけではフォーメーションの判断が付かないこともあります。
このようなとき、その段階のフォーメーションを見極めるために使うのが下位の段階の足です。
【一例】下位の足でジグザグと衝撃波を見極める
相場のトレンドを見極める上で大きなポイントとなるのが「どちらの方向に衝撃波(推進波)が現れているか」です。
ここを見誤るとトレンドの波にうまく乗ることはできません。
しかし、衝撃波はジグザグと同じく5つの波が続けて現れるフォーメーションであるため、「どっち?」とその判断が付かないケースに出くわすことがよくあります。
このようときも縦軸が使えます。
下位の段階の足を確認するとジグザグと衝撃波のフォーメーションを見極めることができるようになります。
「これは明らかにジグザグだ!」と思えるような展開であっても、実は「衝撃波だった!」ということもあります(その逆もまた然り)。
たとえば、4波動目で深くリトレース→5波動目がエクステンション。このような5波延長型衝撃波はジグザグ修正波に見えてしまうことがあるというのはその一例。
なので、たとえ「これはジグザグだ!」と思えるような展開であったとしても、できるだけ下位の足を使ってフォーメーションを見極めるのが理想的。
下位の足を使えば、その足でははっきりと見えなかった波が見えるようになってくるはずです。
【エリオット波動】足の選び方と使い方のまとめ
相場はフラクタルな構造なので、どの足でもエリオット波動は使えます。
さらに、その足の横軸だけではなく、フラクタルの縦軸の足を使うことによってエリオット波動のカウント精度は格段に上がってきます。
エリオット波動の一時的な行き過ぎを見極めたり、エントリーのタイミングを計るなど、縦軸の足はいろいろな使い方がありますが、今回はその代表的な2つの使い方を紹介しました。
ぜひ皆さんも上位の足や下位の足を使ってみてください。きっと実際のトレードの勝率もグッと上がってくると思いますよ。
■エリオット波動のまとめ記事
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