エントリーのタイミングを計る手法はいろいろありますが、その中でもフィボナッチを使ってエントリーのタイミングを計っている方は多いのではないでしょうか。
エリオット波動の数学的基盤はフィボナッチであるため、波動使いもよくこのフィボナッチを使ってエントリーのタイミングを計ります(私もよくこの手法を使いますよ)。
前回のチャネルラインを利用したエントリー手法に続いて、今回はこのフィボナッチを利用して衝撃波終点から逆張り(詳しくは書きませんが順張りになるポイントもあります)でエントリーする手法を紹介します。
エリオット波動については「エリオット波動を学ぶための完全マップ/基礎から応用までのまとめ」をご覧ください。
5波動と3波動で1つのサイクルを構成する
エリオット波動は、5波動の衝撃波と3波動の修正波(トライアングルなどの3波動以外の修正波も有り)の合計8波動が1つのサイクルとなり、このサイクルを繰り返しながらトレンド方向に進んでいきます。
そして、エリオット波動はフラクタル構造になっているので、月足チャート、1分足チャート等、どんな時間軸を使ってもこのサイクルは現れてきます。
上はサイクルのイメージ図です。 5波動の衝撃波で進み、3波動のジグザグ修正波(修正波には幾つか種類があり、フラットなら3-3-5となります)でその動きを調整しているのがお分かりいただけると思います。また、ひとつ下の段階でも8波1サイクルになっていることもあわせて確認いただけると思います。
トレンドの最後は衝撃波
前回もお話ししましたが、トレンドの最後はそのほとんどが衝撃波です。上のイメージ図でも、オレンジ丸と緑丸(修正波のC波もひとつ下の段階では衝撃波)で流れが変わっているのが分かります。
つまり、この衝撃波の終点をうまく掴むことができれば、大きな見返りが期待できるわけです。
前回のチャネルラインを利用したエントリー手法と併せてよく使われるのが、フィボナッチを利用してエントリーのタイミングを計る方法です。
衝撃波の理想的な終点
3つの衝撃波
衝撃波(5-3-5-3-5)のトレンド方向に進む3つの波動(1波と3波、そして5波)のうち、ひとつはエクステンション(延長)してきます。衝撃波は、そのエクステンションしてくる場所によって、3つの種類に分けられます。
■1波延長型衝撃波
■3波延長型衝撃波
■5波延長型衝撃波
一番多く現れるのは、3波動目がエクステンションして大きくなる3波延長型衝撃波です。しかし、FXでは5波延長型や1波延長型もよく現れてきます(レバレッジや関連通貨の影響?)。
そして、この3つの衝撃波は、自然の法則であるフィボナッチ黄金比率で区分される、綺麗で理想的な形というものがそれぞれにあります。
このフィボナッチ区分を利用すれば、衝撃波の終点でタイミングよくエントリーできるようになると思いますよ。
3波延長型衝撃波
3波動目がエクステンションしてくる3波延長型衝撃波です。 この3波延長型が一番よく現れてきます。
この3波延長型は、4波動目の最安値(又は終点や始点)で、衝撃波全体が0.382で区分されるポイントでよく終点を迎えます(上昇トレンドのケース)。この綺麗で理想的な終点は、フィボナッチリトレイスメント(インディケーター)を使えば、とても簡単に探すことが出来ます。
修正4波動目が終わった後に、このポイントで待ち構えてエントリーのタイミングを計るわけですが、注意するポイントがあります。
注意点
■3波延長型と考えていても、5波動目がエクステンションしてくる場合がある
■関連通貨の影響で、行き過ぎ(ヒゲ)などが起きることがある
■4波の安値ではなく、高値になることもある
この手法は、0.382で区分されるポイントでピッタリと反転してくることも多いのですが、関連通貨の影響で行き過ぎもよく現れます。
たとえば、ドル円で上昇衝撃波の理想的な終点に到達したとしても、ユーロドルの下降衝撃波が完成していない場合、行き過ぎが起ったり、時に全く機能しなくなることもあります。FXは、関連通貨の影響を加味しないといけません。この辺りは非常に厄介です。
また、この3波延長型衝撃波は、チャネルラインを使った手法が使えるため、併せて使うと各段にエントリーの精度が上がってきます。 2つの手法で終点が重なれば、そこは強力な反転ポイントになります。
5波延長型衝撃波
5波動目がエクステンションしてくる5波延長型衝撃波です(波の大きさ5>3>1)。 FXでは、目標のポイント到達するため、この5波延長型もよく現れてきます。
この5波延長型は、修正4波動の最安値(又は終点や始点)で衝撃波全体が0.618で区分されるポイントでよく終点を迎えます(上昇トレンドのケース)。
3波延長型と同じく、稀に4波高値になったり、関連通貨の影響で行き過ぎが起こることもあります。また、チャネルラインを利用した手法が機能しなくなることがあることも注意しておく必要があります。
1波延長型衝撃波
1波動目が勢いよくエクステンションしてくる1波延長型衝撃波です(波の大きさ1>3>5)。
反転から陽線(上昇トレンドのケース)が続けて現れ、大きく上昇してくるようであれば、この1波延長型衝撃波である可能性が高くなってきます。
この1波延長型は、3波動目→5波動目が1波動目の0.618倍のポイントでよく終点を迎えます。これまでのフィボナッチリトレイスメントとは違い、フィボナッチエクスパンション(インディケーター)を使い終点を予測することができます。
注意点は同じですが、この1波延長型衝撃波は、1波動目と4波動目が重複するルール破れがよく起こる独特の特徴があります(FXが高レバレッジのため?)。
ここまで3つの衝撃波の理想的終点を説明してきました。 では実際のチャートで、衝撃波がどのように終点を迎えているのか見てみましょう。
実際の為替チャートで衝撃波を確認すると・・・
上はユーロドル衝撃波副次波3-3波動目です(4時間足チャート)。少しラインが多く、分かり難いと思いますので簡単に説明します。
この衝撃波は、全体では5波動目がエクステンションした5波動目延長型衝撃波です。修正4波動目の安値で、0.382で区分されているのがお分かりいただけると思います。また、2-4チャネルの3波ラインタッチで終点を迎えていることも併せて確認できます。
次に内部波動を確認してみます。1波動目は5波延長型の小さな衝撃波で始まっています。
3波動目は、副次波3波動目がエクステンションした3波動目延長型。4波動目の安値で0.382で綺麗に区分されています。また、2-4チャネルの1波ラインタッチで終点を迎え、2つのポイントが重なっているのが確認できます。
5波動目は、1波動目がエクステンションした1波延長型衝撃波。1波と4波が重複するルール破れが発生しています。
2波動目→5波動目は、1波動目の0.618倍の大きさで終点を迎えています。5波動目の副次波は2-4チャネルⅲ波ラインタッチで終点を迎え、この2つのポイントが重なっていることが確認できます。
こうしてみると、この全体の衝撃波の終点は、4つのポイントが重なっていることになります。
■全体の5波動目延長型衝撃波が0.618で区分されるポイント
■全体の衝撃波2-4チャネル3波ラインタッチのポイント
■5波動目の1波延長型衝撃波の2→5波が1波の0.618倍の大きさになるポイント
■最後の副次波5波動目2-4チャネル3波ラインタッチのポイント
エリオット波動はフラクタル構造になっているので、各段階の波動が目標に向かって同時並行で進んでいきます。そのため、衝撃波の終点ではこのように幾つかのポイントが重なって現れることになります。
この衝撃波のエントリーポイントは、全体の終点以外にもいくつかあります。ぜひ皆さんも、フィボナッチやチャネルランを使って、そのエントリーポイントを探してみてください。きっとトレードの勝率は上がっていくと思いますよ。