エリオット波動の複合型修正波 ダブルスリーとトリプルスリー

複合型修正波のアイキャッチ画像

エリオット波動は、5波動構成の推進波と3波動構成の修正波の合計8波動構成がひとつのサイクルで、このサイクルを繰り返しながら波のようにトレンド方向に進んでいます。

推進波は常に5つの波で構成されるのに対し、修正波は3つの波だけではなく、時に「その変形」で展開されることがあります。

為替相場に現れる4つの調整パターンの中で、単純な3つの波(abcで表記されるもの)で構成されるのはジグザグとフラット系、そして、「その変形」で展開されるのがトライアングルと複合型修正波です。

今回のエリオット波動入門は、「その変形」で展開されるこの複合型修正波に焦点をあててみたいと思います。







ダブルスリーとトリプルスリー


単純な修正波が繋がって現れる

ダブルスリーとトリプルスリーのイメージ


複合型修正波は、その名の通りジグザグ、フラット系、トレイアングル系の修正波が複合で展開してくる調整パターンです。


  • シングルスリー  ジグザグやフラット系が単体で現れる
  • ダブルスリー   2つの修正波が複合で現れる
  • トリプルスリー    3つの修正波が複合で現れる


複合型修正波は、ダブルスリーとトリプルスリーを指し示し、ジグザグやフラットはより単純な3つの波で構成されるのでシングルスリーとも言われます。

複合型修正波の多くはダブルスリーですが、稀にトリプルスリーが現れてくることがあります。 ただ、複合型修正波は3つまでの連続が限界であり、4つ以上続くことはありません(3つ続けば絶好エントリーのエントリーポイント)。

複合型修正波の表記は、ジグザグやフラットなどの単純な修正波と区別するために、WXY、またはWXYXZで表記されます。



複合型修正波の特徴

複合型修正波には幾つかの特徴があります。


  • より単純な修正波がX波で結ばれて現れてくる
  • 横這いになるものと、ある程度の勾配で斜めに展開するものがある
  • 横這いの複合型は修正4波、斜めに展開してくるものは修正2波に現れることが多い
  • 横這いの複合型はフラットで始まることが多い
  • トライアングルが含まれる場合は、それは複合型の最後に現れる(YやZ)
  • 横這いの複合型は副次波の修正パターンがよく交互の形となる(オルターネーション)


複合型には、横這いで展開してくるものと、斜めに展開してくるものがあります。斜めに展開するものにはダブルジグザグやトリプルジグザグがあり、時に大きくリトレイスしてくることがあります。

複合型修正波が現れてくる場合、トレンドの認識度が高い修正4波動目は横這いの複合型になり、その認識度が低い修正2波動目はダブルやトリプルジグザグが現れ易いと言えそうです。

また、複合修正波は、衝撃波の2波、4波だけではなく、稀にジグザグのb波などにも現れてくることがあります。




複合型はX波で結ばれる


X波のイメージ


複合型修正波は、2つ、又は3つの単純な修正波がX波で結ばれて現れてくることはすでに触れました。

エリオット波動を始めて間もない方は「X波? 聞いたことがないぞ」、また「難しそうだなぁ」と思われるかもしれません。しかし、X波の理屈はとても簡単で決して難しものではありません。

2つの単純な修正波を2つ繋ごうとしても、そのままの形では繋ぐことはできません。リアクション波があってはじめて2つの修正波を結びつけることができます。

このリアクションがX波(3波構成)で、その多くはジグザグで展開されます。 つまり、修正波を結びつける接着剤のような役割をする訳です。

たとえば、ダブルジグザグの場合、上の図のように2つの単純なジグザグがX波によって結ばれて複合型修正波となります(WXY)。また、3つのジグザグの場合には、2つのX波によって結ばれ、トリプルジグザグとなります(WXYXZ)。





横這い複合型修正波の典型的なパターン



次に、複合型修正波はどのように展開してくるのか、その具体例を見てみましょう。

まずは、横這い複合型の典型的なパターンです。


フラット(W)→ジグザグ(X)→トライアングル(Y)

横這いの複合型一例その1

横這いの複合型は、最初の1発目の修正波(W波)でそのリトレイスの目標をある程度達成している場合に現れてきます(3波0.382リトレイスなど)。

上は、衝撃波の修正4波動目によく現れる複合型衝撃波の典型的なパターンです。

エリオット波動はフラクタル構造になっているので、日足や時間足チャート等のどの時間軸でもこのパターンは現れてきます(1分足でもよく現れてきます)。

波動展開


  • W波  フラット修正波
  • X波     ジグザグ修正波
  • Y波     トライアングル修正波


先程も触れましたが、複合型修正波にトライアングルが含まれる場合には、複合型の最後のY波(ダブルスリーの場合)、又はZ波(トリプルスリーの場合)がトライアングルとなります。

このパターンは、1発目が5波動構成ではなく3波動構成のフラットであることから、トレンドの継続が濃厚であり(4波動目であることを示唆している)、しかも、最後がトライアングルというとてもエントリータイミングを計り易い複合修正波です。

個人的には、このパターンを識別できれば迷わずE終点付近で参入しています。




フラット(W)→ジグザグ(X)→ジグザグ(Y)

横這いの複合型一例その2


横這い複合型修正波の典型的パターンをもうひとつ。 この展開もよく現れてきます。

波動展開


  • W波  フラット修正波
  • X波   ジグザグ修正波
  • Y波   ジグザグ修正波

このパターンも、最初の1波動目がフラットの3波構成であることから、トレンドの継続を示唆しており(修正4波動目であるということ)、狙い易くリスクが少ないと言えます。

ただ、このパターンでは、最後のY波ジグザグの副次波c波がa波の1.618倍まで大きくなることがあるので、内部波動をチャネルなどを使いながらしっかりとカウントする必要があります。






斜めに展開する複合型修正波

斜めに展開してくる複合修正波イメージ

次に、横這いではなく、斜めに展開してくる複合修正波です。このタイプにはダブルジグザグやトリプルジグザグがあります。

この斜めの複合型は、1発目の修正波でそのリトレイスの目標に到達できない場合、2回、又は3回と続けて修正波が現れてくるパターンです(修正2波動目なら1波の0.500~1.00リトレイス。修正4波動目なら3波の0.382リトレイスなど)。

修正2波動目に現れてくることが多いのですが、修正4波動目にも現れてきます。

上図はダブルジグザグですが、このパターンには


  • 0-2チャネルが意識される
  • Y波=W波×1.00倍になることが多い
  • 最後のX波はトライアングルになることがある
という特徴があります。FXの場合、0.618倍や1.618倍になることもありますが、ポイントは前の波をどれだけリトレイスしているかというところです。

また、このパターンは、W-c波やY-c波が大きくなると、衝撃波(特に5波延長型)と似てきてしまい、ときに判断が難しくなることがあります。


複合型修正波はどういう時に現れる?



フラット系修正波やジグザグ修正波のような単純な調整になる場合もあれば(abcで表記される)、今回の複合型修正波のような複雑な調整になることもある修正波。

複合修正波が現れるのはどんな時なのでしょうか?


  • 1発目の修正波で前の波動に対するリトレイスの目標は達成したが、まだ1-3チャネルに届いていない(修正4波の場合)
  • 1つの修正波だけでは、前の波動に対するリトレイスの目標に到達できない
  • ボラティリティが低い時間帯である(時間足などの小さな段階において)
  • 関連通貨ペアと波動を合わせるため


以上のようなケースでよくこの複合型が現れてくるようです。

1日でみれば、日本時間の12~15時、19時~21時のようなボラティリティが低い時間帯でこの複合型がよく現れます。 そして、欧州市場やニューヨーク市場が本格的に動き出すと一気にトレンド方向に進んでいくということがよくあります。







段階の見極めが難しい複合型修正波


エリオット波動の推進波のひとつである衝撃波はチャートを見ているとすぐにそれと分かるくらいスイスイとトレンド方向の目標に進んでいくのに対し、修正波はそのリトレイスの目標に到達するのにかなり苦労しながら進んでいきます。

「勢いに乗り遅れた! でも今からでも間に合うぞ!」、「とりあえずこの辺りで一度利益確定しておこう!」などと調整局面では売り買いが交錯するため、修正波は推進波に比べ、時により複雑な展開で進んでいきます。

このような時の修正波の波動は、同じ段階の波でも、その複雑さや掛かった時間によって、異なった段階の波のように現れてくるので、そのカウントはとても難しくなってきます。

「単純な修正波だ!(abc)」と思っても、実は複雑な複合修正波の一部だったというのはそ
修正波の調整局面では、優先順位を付けながら、可能性のある展開をできるだけ多くのイメージしておき、1波進むごとに修正しながらカウントしていくのが最善策なのかもしれません。

※エリオット波動の概要は「エリオット波動を学ぶための完全マップ/基礎から応用までのまとめ」をご覧ください