皆さんはどんなところを狙ってエントリーされていますか? 今回はエリオット波動を使ったエントリーポイントをご紹介したいと思います。
トレンド系の平均移動線、一目均衡表三役好転、オシレーター系のMACD、RSI、RCIなどは、とてもよく機能する分析手法です。
ただ、トレンド系はサインが出るタイミングが少し遅い、またオシレーター系はトレンドが出るとあまり機能しなくなるという声をよく耳にします。
たしかに、一目均衡表三役好転はエントリーのサインが出るときにはトレンドの多くの部分を既に消化してしまっている、またRSIは買われすぎや売られ好きゾーンを横這いで推移しながらトレンドが進んでいくことがよくあります。
「エントリー下方向と逆方向に動いた」→「そのうち反転してくるに違いない」→「全然戻ってこない」、このようなパターンでポジションが塩漬けになってしまうのは避けたいものです。
そこで今回は、エリオット波動を使ったトレンドの見分け方や、エントリーポイントの定石を掘り下げてみたいと思います。
エリオット波動は他のテクニカル指標と組み合わせ易いので、ぜひ試してみてください。
※エリオット波動については「エリオット波動を学ぶための完全マップ/基礎から応用までのまとめ」をご覧ください
エントリーする前に確認しておきたいポイント
「なんとなく上がりそうだ(下がりそうだ)」というような根拠でエントリーしたトレードでは、勝率はかなり低くなってしまいます。
しかし、「ボリンジャーバンドのー2αにタッチしたのでロング」、「一目均衡表の雲を下抜けてきたのでショート」など、得意にしているテクニカル指標を使いながら根拠のあるエントリーである場合、勝率はグッと上がってきます。
エリオット波動では、トレードの勝率を上げるためのポイントはどこにあるのでしょうか?
トレンド方向にエントリーする
「相場が進もうとしている方向=トレンド方向にエントリーする」。
このポイントを意識すると、トレードの勝率と収益がグッと上がってくると同時に、長期保有のポジショントレードも戦略として行えるようになってきます。
エリオット波動の2つのトレンド
エリオット波動は、相場は5つの波の推進波と3つ波、又はその変形の修正波の合計8波が1つのサイクルとなり波のように進んでいくというとても簡単な理論です。
そうすると、エリオット波動のトレンド(相場が進もうとしている方向)は2つあるということになります。
- 5つの波で展開される推進波トレンド
- 3つの波、又はその変形で展開される修正波トレンド
5つの波の推進波トレンドは、勢いがあり、またそのほとんどが単純な形の衝撃波で現れてくるのに対して、3つの波の修正波トレンドは、あくまでも調整の一時的なトレンドで、ときに3つの波以外の変形で展開され、より複雑なフォーメーションで進んでいきます。
ひと回り上の段階のトレンド方向を確認する
よくトレードしようとしているチャート(たとえば分足)だけを見て、エリオット波動を使う方がいます。たしかに、それだけでも収益を上げることはできますが、それはもったいないようです。
エリオット波動はフラクタル構造になっているので、たとえ分足の波動展開でトレードしようとするにせよ、時間足や日足などの上の段階の波動がどの方向に進もうとしているのか(トレンドがとちらにあるのか)を確認しておくのが理想的です。
推進波はひと回り上の段階のトレンド方向に現れる
トレンドを押し進めるために現れる衝撃波などの推進波は、ひと回り上の段階のトレンド方向にしか現れません。
つまり、分足の段階でトレードする場合、上の段階の時間足や日足でのトレンドを見極めておくと、次に現れる衝撃波の方向が予想できることになり、そのトレンドの方向にエントリーするトレードにはかなりの優位性があることになるわけです。
さらにそのひとつ上の段階のトレンドが、推進波のトレンドなのか、それとも修正波の一時的トレンドなのかを見極めることが出来ていれば完璧です。
具体的には、推進波のトレンドであれば1波動目や3波動目の推進波を確認して、また修正波のトレンドであるならばa波の推進波を確認して(ジグザグのみ)、その押しや戻りでエントリーしていればまず負けることはないと思われます。
ただ、推進波の5波動目と修正波c波の推進波はトレンドに進む最後の波動となるので、その押しや戻りでエントリーしてはいけません。
現在のドル円為替相場で考えてみると・・・
あくまでも予想となりますが、ドル円為替相場で考えてみます。
ドル円は週足の段階で2012年から2015年6月頃にかけて、5波動目がエクステンションした5波延長型衝撃波(推進波)約50円大きく上昇しています。
つまり、この段階でのトレンドは上方向で、遅かれ早かれもう一度上方向に推進波が現れることが予想されることになります(おそらく修正波5-3-5の一時的なトレンド)。
そうすると、下の段階の日足などでトレードする場合、下方向に向けてエントリーするよりは、上の段階と同じ上方向に向けてのエントリーが理想的なわけです。(ドル円はおそらく5(A)-3(B)-5(C)のジグザグなので、その(C)波にタイミングを合わせて上方向にポジションを建てる方が優位性が高い)。
エントリーからエグジットまでのシナリオを描いておく
エリオット波動においては、衝撃波(推進波)を確認→その押し目や戻りでエントリー→そして次に現れる衝撃波(推進波)で収益を上げていきます。
言い換えると、推進波トレンドの3波動目や5波動目を狙うというのがトレードの基本戦略です(修正波トレンドでトレードするのであればジグザグのC波)。
ただ、衝撃波を展開中であれば、どこでエントリーしても良いというわけではありません。
ローリスクハイリターンのトレードになるように、エントリーからおおまかなエグジットまでのシナリオを描いておく必要があります。
言い換えると、推進波トレンドの3波動目や5波動目を狙うというのがトレードの基本戦略です(修正波トレンドでトレードするのであればジグザグのC波)。
ただ、衝撃波を展開中であれば、どこでエントリーしても良いというわけではありません。
ローリスクハイリターンのトレードになるように、エントリーからおおまかなエグジットまでのシナリオを描いておく必要があります。
どこでエントリーしようとしているのか?
衝撃波は3つの種類しかなく、またそのルールや特徴も簡単で、とても分かり易いフォーメーションです。
さらに、フィボナッチやチャネリングなどを使ううと、意外と簡単にタイミングよくエントリーするかできてしまいます。
大事なのは、「衝撃波の3波動目を狙って2波動目の終点付近でエントリーしよう!」等、どこでエントリーしようとしているのかということをしっかりと意識することです。
できれば、ひと回り大きな段階の現在も確認して、「日足段階の〇〇〇、時間足段階の〇〇〇でエントリー!」とここまでくれば、かなり精度の高いエントリーであると言えそうです。
損切りポイントをときめておく
シナリオが無いまま相場の勢いでなんとなくエントリーすると、逆方向に動いた場合に「〇〇負けたからこの辺りで・・・」となんとなく損切り→損切りしたとたんに反転ということになりかねません。
このような損切りは、リスクが高いと同時にとても勿体ないようです。やはり、エントリーする前にはあらかじめ損切りポイントを設定しておくのが理想的です。
エリオット波動では、どのポイントでエントリーしようとしているのかがイメージできていれば、
- 衝撃波の3つのルール
- 修正波のフォーメーション
- エリオット波動の定石
などで、そのイメージが否定されるポイントに自然と損切りを設定することができるようになってきます(フィボナッチやチャネルなども併用)。
エリオット波動は、損切りポイントが設定し易い取引手法だと言えそうです。
エリオット波動の定石でエントリーする
エリオット波動においてエントリーポイントは幾つもありますが、今回は「エリオット波動の定石」でエントリーする手法をご紹介します。
ただ、株式市場とは異なり、為替市場では関連通貨やインデックスが影響し合いながらトレンド方向に進んでいくので、この手法はかならずそうなるというものではありません。
あくまでもそうなることが多く、そのポイントは強く意識されるというということでご覧ください。
前の3波延長型衝撃波4波動目安値(高値)でエントリーする
※上は推進波の上昇トレンドのケースで、下降トレンドであれば逆の形になります。
エリオット波動において、推進波(5つの波)のトレンドの4波動目は、前の衝撃波の4波動目安値ライン(上昇トレンドのケース)まででよく終了するというセオリーがあります。
ただ、このセオリーは前の衝撃波が3波延長型衝撃波であることが条件になり、1波延長型衝撃波の場合は、その2波動目安値ラインまでと、そのポイントが変わってきます。
このセオリーを利用すると・・・
推進波5波動目を狙う戦略
- 前の衝撃波の4波動目安値に出来るだけ引き付けてエントリー
- 2-4チャネルの1波ラインタッチで利益確定
- 前の衝撃波の4波動目安値を実線で越えてくれば損切り(ヒゲの部分はよく行き過ぎる)
※前の衝撃波の4波動目安値ライン付近は売り買いが交錯するため、激しく上下することがよくあります。
あくまても一例ですが、このような戦略を立てることができます。
ただ、トレンドの勢いが強い場合は4波動目のリトレイスが浅くなり、前の衝撃波の4波動目安値ラインのかなり上で反転してしまうということもあります。
このようなケースでは、前の衝撃波の5波動目がエクステンションしてきている可能性も出てくるため、その後の展開にフレキシブルに対応する必要があります。
このようなケースでは、前の衝撃波の5波動目がエクステンションしてきている可能性も出てくるため、その後の展開にフレキシブルに対応する必要があります。
また逆に、関連通貨やインデックスなどの影響から前の衝撃波の4波動目安値ラインを越えてくることもあります(1波動目と4波動目は重複しなければ、エリオット波動の衝撃波ルールの範囲内)。
修正4波動目は、この他にもフィボナッチで強く意識されるポイントがあります。
修正4波動目は、この他にもフィボナッチで強く意識されるポイントがあります。
- 3波動目の0.382リトレイスポイント
- 衝撃波始点→3波動目の0.382リトレイスポイント
3波動目の0.382リトレイスを達成した後にヒゲを付けて4波動目安値ラインに戻ってくるというようなパターンもよく現れます。
前の5波延長型衝撃波5-2波動目の安値でエントリーする
エリオット波動では、前の衝撃波が5波延長型衝撃波である場合、その5-2波動目の安値でよく反転してくるというセオリーもあります。
このセオリーは推進波トレンドだけではなく、修正波トレンド(ジグザグ)のb波にも現れてきます。
ただ、このセオリーは、5-2波動目の安値で修正波の全部が終わることもあれば、その一部が終わるということもあります。
5-2波動目の安値で修正波の一部が終わるというケースは修正2波動目によく現れ、たとえば5-2波動目の安値で単純な修正波(拡大フラットやジグザグなど)のa波が終わり、b波で反転→c波で5-2波動目の安値を下抜いてくるというような展開によくなります。
このような場合、そのc波の波動はよく前の5波延長型衝撃波の4波動目安値でサポートされることがよくあります。
実際のチャートで5-2波動目の安値から反転してきたケースを見てみます。
ドル円5波延長型衝撃波に続く展開
上は、ドル円為替相場週足チャートに現れてきた5-2波動目の安値の反転です。
チャート左側の上昇は、4波動目トライアングル安値で0.618と0.382に黄金区分された5波延長型衝撃波で、推進波(5-3-5-3-5)トレンドではなく、修正波(5-3-5のジグザグ)トレンドの最初の推進波(5)だと思われます。
ジグザグのB波はA波の0.618や0.500をリトレイスすることが多く、このドル円為替相場のB波も0.500リトレイスを達成した後に反転してきています。
ここで注目なのが、この0.500のリトレイスラインは前の衝撃波の5-2波動目の安値ラインでもあるということです。
いつでもそうですが、トレンド転換ポイントはエリオット波動やフィボナッチの重要なポイントが重なります。
このようなポイントでのエントリーは、損切りの設定が容易で、しかも次の推進波トレンド(ひとつ下の段階)の頭から入れるのが大きなメリットです。
エリオット波動はフラクタル構造になっているので、週足チャートだけではなく、日足や時間足、そして分足チャートにも使えます。デモトレードで試してみてはいかがでしょうか?
エリオット波動のエントリーまとめ
- エリオット波動のトレンドは、推進波のトレンドと修正波トレンドの2つがあり、推進波トレンドでエントリーする方が勝率が高くなる
- ひと回り上の段階のトレンドを見極めると、より精度の高いエントリーが出来るようになる
- 衝撃波(推進波)は、常にひと回り上の段階のトレンド方向に現れる
- どこでエントリーして、どこでエグジットしようとしているのかイメージしておく
- エントリーの前にはあらかじめ損切りポイントを設定しておく
- エリオット波動では、衝撃波の押し目や戻りでのエントリーが基本戦略となる
- 衝撃波の4波動目は、前の3波延長型衝撃波の4波動目安値(高値)ラインまででよく終点を迎える
- 前の衝撃波が5波延長型衝撃波であれば、その5-2波動目の安値(高値)ラインで修正波の全部、又はその一部がよく終了する
※エリオット波動の5波動目を狙うエントリーは「エリオット波動の5波動目を狙って収益を上げる手法」をご覧ください
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