修正4波中はトレードを休んで、5波動目がスタート付近からエントリーするのがいいのかもしれません。
しかし、4波動目の修正パターンを知っておくことはトレーダーに様々な利益をもたらしてくれます。
今回は、そんなエリオット波動修正4波の代表的な展開パターンと5波を狙って収益を上げるためのポイントなどを解説します。
こちらをご覧になる前に「エリオット波動を学ぶための完全マップ/基礎から応用までのまとめ」をご覧頂くと分かり易いと思います。
トレンド方向に勢いよく進んでいく波を狙う
エリオット波動の8波1サイクルにおいて、トレンド方向に勢いよく進むのは推進波の衝撃波(インパルス)です。トレードで収益を上げるには、この衝撃波の波にいかにタイミングよく乗れることができるかがポイントになります。
まずは、この衝撃波について簡単に説明します。
3つの衝撃波とそのルール
衝撃波は、5つの波でトレンド方向に大きく押し進んでいきます。そして、ほとんどの衝撃波は1波.3波.5波のいずれかひとつは延長波が内包され、その波動は最も大きな波動となります(これをエクステンションといいます)。
※エクステンションについてはエリオット波動「衝撃波のエクステンション」を徹底解剖をご覧ください。
1波動目がエクステンションした1波延長型衝撃波、3波動目がエクステンションした3波延長型衝撃波、そして、5波動目がエクステンションした5波延長型衝撃波。
上の図のように、そのエクステンションした場所によって3つの種類に分けられます。
また、この3つの衝撃波は、簡単な3つのルールがあります。
■2波は1波の始点(衝撃波スタート地点)を越えない
■1.3.5波の内、3波は一番小さい波動にならない(2番目はOK)
■1波と4波は重複しない
それぞれの衝撃波は、このルールを守りながら進んでいきます。
※3つの衝撃波についての詳しい説明は「エリオット波動の推進波 その種類と特徴のまとめ」に記載しています。
1.3.5波、どの波動を狙う?
FX相場では3波延長型衝撃波が一番よく現れます。また、3波動目は一番小さな波動にならないという衝撃波のルールもあります。
このことから、衝撃波の3波目を狙うのが勝率の高いトレードに繋がっていくと言えそうです。3波(C波)を狙えというFX格言があるのもこのためだと思われます。
特に、3波動目に延長波が内包された3波延長型衝撃波の3波動目は、エリオット波動で最も勢いのある波動になり、ときに信じられないほどのスピードで遠くまで進んでいきます(直近では、2016年11月からのドル円為替相場の上昇も3波延長型衝撃波)。
それでは5波動目は狙わない方がいいのか?
そんなことはありません。5波動目の内部波動も衝撃波でトレンド方向に大きく進んでくので、5波動目を狙ったトレードプランにも優位性があります(1波延長型衝撃波の5波狙いはリターンが少ないのであまりお勧めしません)。
また、FX相場では、3波動目がそれほどの大きさでない場合には、5波動目がエクステンションして、5波動目延長型衝撃波によく発展してきます。
ただ、5波動目には不確定要素が多く、リスク管理を徹底しながら慎重にトレードプランを建てる必要があります。
衝撃波と修正波の見極め方
エリオット波動の5波動目を4狙う場合、まずその前提条件として、その波動が衝撃波でなければなりません。
よくある負けパターンは、5波動目の上昇を狙って修正4波でロングのエントリーしたものの、蓋を開けてみればインパルスではなくabc修正(3波構成)で、そのまま大きく下降してしまったというものです。
この推進波と修正波の判断が出来ていないと痛い目にあってしまいます。そのような目にあわないために、まずは衝撃波と修正波を見極める必要があります。
エリオット波動の衝撃波と修正波の見極め方
衝撃波と修正波を見極めるには、主に次の2つの方法が考えられます。
- フラクタル構造を利用して、ひとつ上の段階の現在地を確認する
- 波動構成の推移を確認する
- 1波と3波の大きさのフィボナッチ比率を確認する
フラクタル構造を利用して、ひとつ上の段階の現在地
エリオット波動はフラクタル構造になっています。衝撃波と修正波の見極めには、このフラクタル構造を利用して、ひとつ上の段階のトレンド方向、また併せてその現在地を確認してみることがとても有効です。
時間足チャートのトレードであるなら、日足の段階波動をカウントして現在地を確認すれば、衝撃波と修正波の見極めに大いに役立ちます。
ここでは、フラクタル構造については触れませんが、興味のある方は「泣けるほど使える! 相場に現れるフラクタルとは?」をご覧ください。
波動構成の推移を確認する
上の図は、3波動目に延長波が内包された3波延長型衝撃波の一般的なサイクルイメージです(延長波は青色のカウント)。
エリオット波動は、5波でトレンド方向に大きく進み、その動きを調整する3波(又はその変形)の合計8波でひとつのサイクルが構成されます。そして、この8波1サイクルを繰り返しながらトレンド方向に進んでいきます。
この8波1サイクルを意識しながら波動の推移を確認すると、衝撃波と修正波を見極めることができる場合があります。
衝撃波の波動構成は5-3-5-3-5で、1波、3波、5波それ自体の内部波動も基本的に衝撃波の5波動構成です(エリオット波動がフラクタル構造であるため)。
3波動目が終了した時点で、その波動が衝撃波であるのかを判断する場合、1動目と3波動目の副次波が衝撃波となっているかを確認してみるのがひとつのポイントです。
もし、3波動目までの波動構成が3-3-5であるならば、修正波である可能性があるので注意しなければいけません。
ただ、厄介なことに3波動目までの波動推移が5-3-5であっても、修正波である場合があります。
修正フォーメーションのひとつに、衝撃波と似通った波動構成を持つジグザグという修正波があります。ジグザグは修正波であるのでabcの3波構成です。しかし、その内部波動は、衝撃波と途中まで同じの5-3-5という波動を展開してきます。
つまり、5-3-5と波動展開が続いた場合、衝撃波とジグザグ修正のそのどちらの可能性もあるということになります。
この見極めには、3波動目の大きさを確認してみるのがとても有効な手段になります。
3波が1波の1.618倍を越えているか?
3波動目の大きさは、衝撃波と修正波を見分ける大きなポイントになります。
それは、3波動目が1波動目の1.618倍を実線で超えてくるかどうかです。
これは3波動構成の修正波の場合、3波の大きさは1波の大きさの1.618倍を超えてくることはあまりないという原則を利用したものです。
つまり、3波動目の大きさが1波動目の1.618倍を実線で超えてくれば、進行中の波動は推進波である可能性がかなり高くなり、その後、4波動目→5波動目と続いていくことが推定できるという訳です(この1.618倍ラインは反対方向にポジションを建てる急所でもあるため、売り方と買い方の激しい攻防が行われます)。
ただ、為替相場は大きなレバレッジや、他通貨の影響から行き過ぎが起こりやすく、3波動の修正波であっても一時的に(主にヒゲの部分)1.618倍を越えてくることもにあるので、柔軟に対応するのがいいでしょう。
また、FXでは、関連通貨の影響や、修正c波目標ポイント到達のためなどから、稀に修正波のc波がa波の2.618倍などと大きくなることがあります。
このようなケースもあるので、たとえ1.618倍を越えたとしてもリスク管理は万全にしておく必要があります。
エリオット波動修正4波からの反転を狙う
5波を狙ってのエントリーポイント
推進波と修正波の見極めが終わり、推進波の可能性が高い場合、いよいよ5波を狙ってのエントリーポイントを探っていくことになります。
エリオット波動において、4波動目の修正パターンは数多く存在し、4波動目の途中でのトレードは、なかなか思い通りにはいきません。できるだけ4波の終点にポイントを絞ってエントリーするのが最善の策かもしれません。
3波動目のFR38.2
衝撃波には、1波と4波は重複しないというルールがあります。つまり、エリオット波動での修正4波動目は、3波終点から1波終点の間までのかなり広い部分がリトレイスの許容範囲となるわけです。
これでは5波動目を狙ってどこでエントリーしてよいのか迷ってしまいます。
しかし、衝撃波は理想的で綺麗な形があり、その形に近づいていくという性質があります。
上の図は3波延長型衝撃波の理想的な展開イメージです。 あくまでも一例ですが、エリオット波動の衝撃波はこのような展開が美しいとされます。
当然、修正4波動目のリトレイスにもその理想的終点というものがあります。
- 3波動目の0.382のリトレイス
- 衝撃波始点~3波動目の0.382のリトレイス
修正4波動目の多くは、この2つのポイント付近で終点を迎えます。
つまり、このポイントは5波動目を狙ったエントリーポイントの急所となるわけです。
その他、トレンド方向への勢いが強い場合(3波動目の副次波など)には、0.236のリトレイスになることや、逆に関連通貨の影響などから、1波の始点を越えない範囲での深いリトレイスになることもあります。
※フィボナッチについては「エリオット波動の数学的基盤であるフィボッチ」をご覧ください
チャネルライン
エリオット波動の衝撃波は、チャネルライン沿いに進んでいくという特徴があり、FX相場では3つのチャネルラインが強く意識されます。
そのうちの1-3チャネル(上の図の黄色のチャネル)は、修正4波動目の終点を探るひとつの目安となります。
ほとんどの5波動目は、この1-3チャネルを一度越えた後からスタートし、再びこのチャネル内に戻ってきます(修正フォーメーションや、リトレイスの大きさによってはチャネル内に戻れないケースもあり)。
つまり、この1-3チャネルを越えてこない間は、修正4波動目が終わっていない可能性が高いわけです(1-3チャネルを越えないまま3波動目の終点をブレイクした場合には、拡大フラット修正に要注意)。
5波動目が始まったことをしっかりと確認してからのエントリーが理想的かもしれません。
修正4波動目の展開では、1-3チャネルを越え、3波(又は1波~3波)の0.382リトレイスポイントの目標に到達してその終点を迎えるというパターンがよく現れてきます。
また、既に越えている0-2チャネルも4波動目終点で意識されるポイントです。0-2チャネルタッチから5波動目がスタートという展開もよくあるパターンのひとつです。
※チャネルラについては「チャネルラインはこの3つを使え! 引き方と目的まとめ」をご覧ください。
この他、衝撃波の4波動目は、前の衝撃波の副次波4波動目安値(上昇トレンドのケース)以内に収まるというガイドラインがあります(前の衝撃波が3波延長型の場合)。この辺りも意識しておきたいところです。
その他のテクニカル指標など
エリオット波動と相性が良いその他のテクニカル指標もあわせて確認しておくと、更に精度が高まります。
例えば、1時間足でトレードしているのであれば、1時間足の一目均衡表の雲、1時間のフィボナッチPivotのサポート(又はレジスタンス)、そして、ボリンジャーバンドなどのポイントが、3波動目の0.382のリトレイスや、1-3チャネルに重なれば、そのポイントは強力な反転ポイントになります。
また、FXは関連通貨ペアの波動展開が大きく影響し、各通貨ペアが歩調を合わせて反転してきます。 たとえドル円でトレードするにしても、ユーロドルやクロス円の波動展開は確認しておくことをお勧めします。
以上のように4波動目の終点付近でのエントリーを心掛けておくと、様々なパターンの4波動に惑わされることも無くなることでしょう。
また、4波動目の終点を意識するだけではなく、この4波動目のパターンを知っておくことは、トレーダーに多くのメリットをもたらしてくれます。
エリオット波動の修正4波のパターン
修正波の波形を知っておくことはトレーダーのメリットになります。
冷静に相場を見ることができ、トレードのストーリーを描きやすくなることが最大のメリットではないでしょうか。
展開の予測ができれば、最善のポイントでエントリーできるようになり、また思い通りの展開にならなかった場合の損切りも適切なポイントで行えるようになります。
それでは、そのいくつかのパターンを見てみましょう。
トライアングル(ランニングトライアングル)修正
エリオット波動の衝撃波は、投資家のトレンド認識の強弱によって、2波動目は急こう配の修正(ジグザグ系)、そして、4波動目はオルタネーション(交互の法則)から横這いの修正になるのが一般的となります。
横這いの修正波であるトライアングルが現れるのはこの4波動目です。上の図は、3波の終点を越えてくるランニングトライアングルです(普通のトライアングルもよく現れます)。
トライアングルは、3波構成ではない特殊な修正波で、ABCDEの5波動構成となります。それぞれの内部波動は3波動で構成されるため、3-3-3-3-3の展開となります。
理想的なエントリーポイントはE波の終点付近で、いかに早くトライアングルの波形を見抜けるかがポイントです。
注意しておきたいのは、このランニングトライアングルは途中まで拡大フラット(3-3-5)と同じ波形を構成してくる点と、しばしばE波はトライアングルチャネルを越えてくるという点です。
闇雲に直近高値のブレイクでエントリーしていると、このランニングトライアングルのダマシにあうので注意しておく必要があります。
拡大フラット修正
拡大フラット修正の内部波動は3-3-5構成で、b波は3波の終点を更新してきます(終点を更新しない、普通のフラット修正の方がよく現れます)。そして最後のc波の推進波がa波の終点を下回り、1-3チャネルラインを行き過ぎてから5波動目がスタートするのが一般的です。
b波はa波の1.272倍や、1.382倍の大きさによくなります。
拡大フラットc波は、a波の1.618倍の大きさで終点を迎えることが多く(稀に2.618倍になる)、この付近からの反転を確認した後の最初の押し目や戻りがエントリーの狙い目となります。
注意点として、ランニングトライアングルと同じく、b波での3波終点ブレイクのダマシにあわないようにすることです。
対処の方法としては、そこまでに掛かった修正波の時間やリトレイスの大きさ、そして、1-3チャネルを一度越えているかなどを確認してみることです。
複合型修正波
修正2波動目が急こう配な修正(ジグザグなど)の場合、4波動目にこの複合型の修正も現れてきます。
複合型の修正は、X波(ほとんどがジグザグ)を挟んで、2つの修正波が複合的に現れる修正波で、一般的にWXYと表記され、3つの修正波が複合的現れる場合もあり、その時の表記はWXYXZとなります(3つ以上は続きません)。
複合修正波でよく現れるパターンは、フラット(W)→ジグザグ(X)→ジグザグ(Y)や、フラット(W)→ジグザグ(X)→トライアングル(Y)です(上図の右下)。
その他にも、X波を挟んでジグザグが2回現れるダブルジグザグや、3回現れるトリプルジグザグなどもあります。
以上、いくつかの修正フォーメーションを見てきました。 その他の修正パターンについては「エリオット波動で知っておくべき4つの調整パターン」をご覧ください。
5波の利益確定ポイント
4波動目の終点付近でタイミングよくエントリーできた後は、利益確定ポイントのストーリーを描く必要があります。
通常の3波動目延長型衝撃波波の場合、5波動目の値幅は1波の1.00倍や、1.618倍になるのが一般的です。
さらに深く終点を探る場合には、最後の5波動目内部波動の衝撃波を、チャネルなどを使いながらカウントすることをお勧めします(2-4チャネルの1波、又は3波ラインタッチが目安となる)。
※終点を深く探る手法は「チャネルラインを使い反転をピンポイントで狙う」をご覧下さい。
また、3波延長型衝撃波であると考えていても、実は5波動目がエクステンションする5波動目延長型だったということもあります。 この場合の利益確定ポイントは延長波の終点であり、まだかなり先にあるということになります。
3波動目がそこまで大きくないケースは、ひょっとすると5波が延長してくるかもしれないというイメージは描いていた方がいいかもしれません。
逆に、3波動目があまりにも早く、遠くに進んだ場合には、5波動目が3波動目の終点を越えてこれないフェイラー(トランケーションとも言います)が起こる可能性もあるので慎重に終点を見極める必要がありそうです。
まとめ
トレードでは、トレンド方向に大きく進む衝撃波を狙うのが基本となる。
エリオット波動の5波動目を狙ったトレードにおいては、様々なパターンが存在する4波動目の途中でのエントリーではなく、5波動目が始まった後の始点付近でエントリーする方が勝率は高まる。4波動目の終点は、3波動目の38.2のリトレイスポイントや、1-3チャネルを行き過ぎたポイントになることが多く、またその他のテクニカル指標もあわせて確認しておくと更に精度の高い反転ポイントを探ることができる。
以上、エリオット波動の5波狙いについて掘り下げてみました。
※エリオット波動の波の数え方は「エリオット波動の数え方 精度を上げるカウント手法」をご覧ください
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