5波で進んで、3波又はその変形でその動きを調整するのがエリオット波動の8波1サイクルでした。 前回までは5波で進む推進波についてでしたが、今回の第6回エリオット波動入門は、3波又はその変形で押し目や戻り作り出す修正波について綴ってみたいと思います。
波動使いの強者は、この修正波終点付近を狙ってきます。 なぜそのポイントを狙うのか?
それは、次の波動がトレンド方向に大きく進む5波推進波であることが既に分かっているので、良いタイミングでエントリーできれば大きな見返りが期待できるからです。
エリオット波動の修正波パターンの特徴などをマスターしていると「これはフラット修正だ! 現在はc波で、a波の1.00倍付近があやしいぞ!」等とその修正波終点をより具体的にイメージできるようになってきます。
ただ、修正波は推進波にくらべて少し難解です。 パターンなどの詳しい特徴は次の機会に回し、今回はその概要を綴ってみたいと思います。
「エリオット波動を学ぶための完全マップ/基礎から応用までのまとめ」を読んでからご覧頂くと分かり易いと思います。
推進波の動きを調整する修正波
5波で進み、3波又はその変形でその動きを調整するのがエリオット波動の8波1サイクルでしたが、修正波はその『3波、又はその変形』の部分です。メジャートレンドとは逆方向の一時的なトレンドを作り出します。※5つの波の推進波が1~5の番号で表記されるに対し、3つの波の修正波はabc等のアルファベットで表記されます。
修正波には、決して5つの波にならないという基本原則があります。5つの波になるのは推進波だけです(トライアングルなどの変形は除く)。
注意しないといけないのは、メジャートレンドと逆方向の一時的なトレンドであるこの修正波においても5つの波の推進波が現れることです。しかし、その推進波は、あくまでも修正波の一部にすぎません。
たとえば、修正波の代表格ジグザグ修正は、a波(5波)→b波(3波)→c波(5波)という3波構成で、その内部波動(ひとつ下の段階)には推進波が現れてきます。「推進波が現れたのでトレンドが変わった!」と勘違いしないようにしないといけません。
※サイクルについては「エリオット波動サイクルで読み解く相場の現在地とトレンド」を参照してください
修正波パターン4つの系統
3波、又はその変形で構成される修正波には4つの系統があります。
3波で構成されるもの
■ジグザグ 内部波動は5-3-5
■フラット系 内部波動は3-3-5
以上の2系統です
その変形で構成されるもの
■トライアングル系 内部波動は3-3-3-3-3
■複合修正波系 WXY、又はWXYXZ
以上の2系統です。
複合修正波は、ジグザグやフラット、そして、トライアングルなどの修正波が、X波(その多くはジグザグ)を挟んで複合的に現れる修正波で、横這いに展開するものと、ダブルジグザグ等のように急こう配に展開するものがあります。
それぞれの特徴などは次の機会に綴ってみたいと思います。
修正波の現れるポイントとその特徴
上は推進波の3波動目がエクステンションした3波延長型衝撃波の展開イメージです。FX相場は、イメージのように8波1サイクルを繰り返しながらトレンド方向に進んで行きます。
推進波の波動構成は、5-3-5-3-5です。つまり、2波動目と4波動目が修正波の現れるポイントとなります。
修正2波動目
修正2波動目の修正波は、1波動目に対して急こう配の深いリトレイスになるのが一般的です。 これは、投資家にメジャートレンドがあまり認識されていないことが要因になっているものと思われます。
修正パターンは、大きなリトレイスをするジグザグ系がよく現れてきます。
トライアングルなどの横這いの修正パターンは、あまり現れることはありません。つまり、トライアングルが現れた場合には、そこが修正4波動目であることが疑われます(エクステンションする波動の副次波修正2波動目には現れることがあります)。
修正4波動目
修正4波動目は、3波動目に対して横這いの浅いリトレイスになるのが一般的です。また、修正4波動目になると、メジャートレンドの認識が高まり、修正波形はより複雑なパターンになる傾向が強くなります。
修正4波動目のカウントは、エリオット波動で一番難しいのではないでしょうか。実際のトレードにおいても、修正4波動目内部波動でのトレードは特に慎重に行う必要がありそうです。
修正パターンは、フラット系やトライアングル、また、より複雑な複合修正波などもこの修正4波動目に現れてきます。
修正波のオルタネーション
エリオット波動には、オルタネーションという法則があります(交互の法則)。
修正2波動目が急こう配であれば、修正4波動目は横這い(ほとんどこのパターン)。逆に、修正2波動目が横這いであれば、修正4波動目は急こう配の修正となる傾向があります。
4波のカウントに入る前には、2波の修正波形を確認しておくととても参考になります。
ここまで、修正波の現れるポイントとその特徴を書きましたが、メジャートレンドの認識が強くなればなるほど修正波はなかなか簡単には進めなくなり、その目標のポイント(修正波終点)まで複雑な波動パターンで到達してくるということが言えそうです。
一筋縄ではいかない修正波のカウント
4つの修正パターン系統で、ゴール(修正波終点)までの道のりがいくつもある修正波。そんな修正波のカウントをさらに難しくしているものがあります。
「ジグザグのabcでここが終点だ! 次は推進波が現れるぞ!」→「あれ? 推進波が現れるはずなのに3波で終わった」、このようなことは波動使いの誰しもが経験することです(私は今でもよく間違えてしまいますが・・)。
FX相場にはフラクタル構造による段階があり(サイクル、プライマリーなど)、修正波をカウントする場合には、その段階の見極めが必要となります。
上の修正波イメージを見て頂ければと思います。1と2の修正波の1発目は、同じジグザグ修正(5-3-5)の3波動構成です。
1のように、このジグザグ3波で修正波が終点を迎えることもあれば、2のケースのように、このジグザグは3-3-5フラット修正内部波動(ひとつ下の段階)のa波であることもあります。
また、3のようにジグザグの3波で修正が終わり、直近高値を越えたところでエントリーして、推進波の波にうまく乗れることもあれば、4のように同じような展開でも、実はそのジグザグの3波は3-3-5拡大フラット修正内部波動のa波だったということもあります。
修正波のカウントは、その現れている場所やリトレイスの大きさ、そして、その修正にかかった時間などを考慮しながら慎重にカウントする必要がありそうです。
いくつかのイメージを描きながらカウントしていく
修正波は、いくつものパターンがあり、また、ときにそれらが複合的に現れてくるためカウントは難しくなることがあります。
特に、トレンド方向が認識されている修正4波動目は、複雑な展開になることや「ジグザグ? それともフラット?」などと波動が微妙な形になる場合もよくあります。
また、FX相場においては、影響を及ぼし合う関連通貨ペアが同時に反転してくることが多く、タイミングが合うまでは複雑な展開になることもあります。
修正波のカウントは、推進波とは違い、1波進ごとに修正しながらカウントしていくのが基本となります。ひとつのイメージではなく、いくつかのイメージを描きながら、詰め将棋をしているかのようにカウントすると、とても楽しく相場予想ができると思いますよ。
以上、エリオット波動入門でした。
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