相場は、5波推進波と3波(又はその変形)修正波の合計8波で1サイクルを構成し、そのサイクルをくり返しながら波のようにトレンド方向に進んでいきます。
3波修正波は、そのパターンや組み合わせによって様々な道のりがあり、その序盤での予想はとても難しいものがあります。
特に、修正波の1発目が3波動構成であった場合、その展開のバリエーションはかなり広くなります。
今回のエリオット波動入門は、修正波1発目が3波動構成で始まる修正波の中でよく現れるフラット系修正に焦点をあててみたいと思います。
エリオット波動についてはエリオット波動を学ぶための完全マップ/基礎から応用までのまとめをご覧ください
フラット修正とジグザグ修正の違い
3-3-5で構成される
修正波で最もよく現れるのはジグザグ修正波で、チャート至るところに現れてきます。このジグザグ修正波の内部波動は5-3-5で構成されます。
一方、今回焦点をあてるフラット修正波は、3-3-5で構成され、1発目が3波動構成となる点でジグザグ修正波とは異なります。
フラットは浅いリトレイスになることが多い
フラット修正は、ジグザグ修正とは異なり、前の波動に対して深くリトレイスしてくることはあまりありません。
つまり、フラット修正波は、修正4波動目に現れることが多く、修正2波動目に現れることは少ないと言えます(修正2波動目はジグザグ系がよく現れて深くリトレイスしてきます)。
ただ、衝撃波延長波の副次波2波動目はフラットが現れることがあります。また、拡大フラットは、修正2波動目に現れ、深くリトレイスしてくることがあります。
展開が読み難いフラット修正波
修正波の1発目が5波動構成であれば「ジグザグ系だ!」とイメージできるのですが、3波動構成である場合には展開がとてもイメージし難くなってしまいます。
トライアングル系修正波、複合系修正波、そしてフラット系修正波など、そのバリエーションは広く、その序盤での予想はとても難しいものになります。
3つのフラット系修正波
3-3-5の内部波動で構成されるフラット修正は3つに分けられます。この3つのフラット系修正波の基本展開パターンやその特徴を次に見てみましょう。
フラット修正波
時間足チャート、分足チャートなど、どの時間軸でもいいのですが(フラクタル構造)、大きく上昇(又は下降)した後に横這いの動きになり、その後再び直近高値(又は安値)をブレイクしていくといった展開を見たことがないでしょうか?
このようなケースでは、衝撃波の3波動目→フラット修正(4波動目)→5波動目といった展開であることがよくあります。
フラット修正は、このように修正4波動目の浅いリトレイス局面(3波動目の0.382など)でよく現れてきます。
フラット修正の特徴
- その内部波動は3(a)-3(b)-5(c)となる
- a波、b波、c波はほぼ同じ大きさになることが多い
- b波はa波の始点付近で終了する(a波の0.900~1.050リトレイスが目安)
- b波はジグザグになることが多いが、それ以外の3波構成も現れる
- c波は常に衝撃波となる
- c波はa波終点を少し越えた付近でよく終わりを迎える(0-2チャネルが意識される)
以上、フラット修正波には、このような特徴があります。
このレギュラーなフラットでは、a波、b波、c波は同じ大きさになることが多いのですが、FXは高レバレッジで取引され、また関連通貨の動きも大きく影響してくることから、c波衝撃波が大きく延びてくるケースもあります。
また、フラットのa波がジグザグの3波である場合、b波はそれ自体がフラットの3波になることがあります(その逆もあり。オルターネーション)。
拡大フラット修正波
エリオット波動の波の個性として、トレンドの認識度から、修正2波動目は深いリトレイス(0.50~1.00)、そして修正4波動目は浅いリトレイス(3波動目の0.382など)になることが多いので、修正2波動目がレギュラーなフラット修正になることはほとんどありません(延長波の副次波は除く)。
修正2波動目にフラット系が現れる場合、そのほとんどは拡大フラットです。また、この拡大フラットは修正4波動目にもよく現れてくるため、結果レギュラーなフラットよりもこちらの方が出現頻度が高いようです。
拡大フラットの特徴
- その内部波動は3(a)-3(b)-5(c)で、基本レギュラーなフラットと同じ特徴
- b波はa波の始点を越えてくる(a波の1.236や1.382倍になることが多い)
- c波は衝撃波で、a波の1.618倍になることが多い(稀に2.618倍)
修正2波動目で拡大フラットが現れた場合、そのc波はa波の2.618倍になり、1波動目の値幅を大きくリトレイスしてくることがあります。
また、拡大フラットは、そのb波までの展開はランニングトライアングルと同じ内部波動構成となるので、その見極めが必要となります。
ランニングフラット修正波
最後は、ランニングフラット修正です。 このランニングフラットの特徴は拡大フラットと基本同じなのですが、c波がa波の終点を越えられないという点で異なります。
トレンドの認識度が高い修正4波動目に現れますが、レギュラーなフラットや拡大フラットに比べて出現頻度はかなり低くなります。
気を付けておくことは、b波が3波構成ではなく、5波構成であった場合、それはランニングフラットではなく、新たな衝撃波の1波動目である可能性があるという点です(どちらも抜け行く方向は同じ)。
実際の拡大フラットチャート
上は、ユーロ円為替相場衝撃波3波動目の副次波に現れた拡大フラットです。
1波延長型衝撃波(1波)→ジグザグ(a)→ジグザグ(b)→3波延長型衝撃波(c)で、b波はa波の1.236倍、またc波はa波の1.618倍となっています(この修正2波動目拡大フラット後の3波動目は、0-2チャネルを上抜けて1波動目の3倍以上の上昇)。
トレンドが認識されている3波動目の副次波なので、修正2波動目ですがそこまで深いリトレイスにはなっていません。また、a波の3波動構成は、もう少し時間軸を落とさないと確認できないようです。
ブレイク後に続く展開
衝撃波で上昇(又は下降)→3波構成の調整→その後、衝撃波の高値(安値)ブレイクといった展開では、その方向でエントリーするといったブレイク戦略が有効だとよく言われます。
たしかに、結果的にはその方向に延びていくということが多いのですが、エントリーのタイミングは「もう少し待てばよかった」ということがよくあります。今回の拡大フラットもそうです。
何も考えず「ブレイクしたらエントリー」というのは、実は失敗することがとても多く、とても効果的とは言えないようです(衝撃波の押し目や戻りでのエントリーが最善)。
上図の1番は今回の拡大フラットですが、その他にも似たような展開がいくつもあります。
上図の2番は、ランニングフラットにも見えますが、衝撃波でブレイクしているので、1波動目→2波動目→3-1波動目→3-2波動目と数えるのが正しいカウントとなります(見込み波)。
上図の3番は、衝撃波でブレイクしていますが、これはジグザグ5-3-5のc波衝撃波で、この後は基本的に逆の方向に抜けていくことになります。
これらの判断はなかなか難しいのですが、しっかりと内部波動を確認して、その段階、またひとつ上の段階の波動の流れや現在地をしっかりと確認しておくことがポイントになるのではないでしょうか。 関連通貨の波動も確認しておくとさらに効果的かもしれません。
※エリオット波動の段階を意識したカウント手法は「波の見つけ方! 縦と横で次の展開を見極める」をご覧ください。
拡大フラットエントリータイミングの一例
エリオット波動では、衝撃波の押し目や戻りが基本的にエントリーのチャンスとなります。
衝撃波の2波動目や4波動目の終点付近、ジグザグのb波終点付近が狙いどころとなるわけですが、特に修正2波動目の終点付近は、その後3波動目→4波動目→5波動目と続くので、狙っていきたいところです。
そこで、修正2波動目で今回の拡大フラットが現れた場合のエントリータイミングの計り方の一例をご紹介します(ブレイク時ではなく、押し目(戻り)でのタイミングです)。
ひとつ上の段階の波動展開や、その内部波動から、修正フォーメーションが拡大フラットであることが濃厚であれば、以下のようなポイントが狙いどころとなります。
参入ポイント
- 1波動目の0.618リトレイス(2波動目は0.50~1.00と深くなることが多い)
- 拡大フラットc波=a波×1.618のポイント(又は2.618)
- c波衝撃波(3波延長型の場合)の5波=1波×1.00のポイント(又は1.618)
このようなポイントが狙いどころになるのですが、これらのポイントが重なれば重なるほど、そのポイントで反転してくる可能性が高くなってきます。
さらに、最後のc波衝撃波の2-4チャネル1波(又は3波)タッチが重なれば、絶好のエントリーポイントになると思われます。
ブレイク戦略より、しっかりと引き付けてからのエントリーがリスクも少なくお勧めです。
以上、今回はフラット系修正波について綴ってみました。
※その他の修正波フォーメーションは「エリオット波動で知っておくべき4つの調整パターン」をご覧ください
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