エリオット波動のガイドラインのひとつに「波の個性(Wave Personality)」というものがあります。
エリオット波動サイクルの各波動には、トレーダーの群集心理が反映される個別の特徴があるというものです。
推進波の1波動目~5波動目、そして修正波のA~C波動目の「波の個性」は、いつもそのような動きになるというものではありませんが、相対的には見るとガイドラインが指し示すような動きによくなります。
エリオット波動を使って相場を分析していると、「波動のカウントに迷った!」、「いくつかのカウント候補の中で優先順位を付けたいなぁ」などというときがあると思います。
「波の個性」は、このようなときに特にその威力を発揮してくれます。
また、「波の個性」を理解することは、実際のトレードでのエントリーや利益確定を適切なタイミングで行うことにも繋がっていきます。
これからエリオット波動を始めてみようと思われている方は、「波の個性」を意識しながら相場の波を数えられてみてはいかがでしょうか。
きっと、より正確にエリオット波動の波が数えられるようになると思いますよ。
相場の分析手法で世界的に高い評価を受けているエリオット波動。しかし、日本では、「そんなの信じられないよ」という人も多いようです。
たしかに、為替市場では、そのときに市場をリードしている通貨の影響を受けてしまうため、エリオット波動理論の動きが見え難くなることはあります。
しかし、相場は紛れもなくエリオット波動サイクルを繰り返しながらトレンド方向に進んでいます(たとえば、ドル円為替相場2011年からの上昇衝撃波も驚くほど正確に波動の行く先を教えてくれました)。
それでは、なぜ相場はエリオット波動理論に基づいた動きとなるのでしょうか?
「エリオット波動がトレーダーに意識されているから」と考える人もいるようです。
たしかに、世界的には「エリオット波動を使う人=波動使い」が増え、なかり意識されてきているということもあるかとは思いますが、そのことが大きな理由ではないようです。
なぜなら、エリオット波動の生みの親のR.N.エリオット(1871~1948)が「波動原理 The Wave Principle」を発表したのは1938年で、彼はそれ以前の米国株式市場75年間のデーターからその法則を見つけ出しているからです。
現在では、一般的に「エリオット波動の動きは市場心理が反映された自然の法則である」と考えられています。
もしそうであるならば、エリオット波動は「フィボナッチ」と同じく、いつの時代でも、またどんな相場でも使える普遍的なものであると言えそうです。
エリオット波動理論では、5波+3波=8波が1つのサイクルです。※5つの波は推進波 (Motive Waves)、3つの波又はその変形を修正波(Corrective Waves)といいます
そして、このサイクルが繰り返されることにより、ひと回り大きな段階のエリオット波動サイクルが作り出されます。
このサイクルは無限に続きます。その結果、どれだけ上にいっても、また、どれだけ下にいっても同じような8波1サイクルが現れてくることになります(これをフラクタル構造という)。
つまり、相場には段階があり、各段階の波はそれぞれエリオット波動サイクルを刻みながら同時並行で進んでいるというわけです。
ここでポイントとなるのは、エリオット波動のガイドラインである波の個性は、ある特定の段階だけというわけではなく、どの段階のエリオット波動サイクルにも同じように表れてくるというところです。
言い換えれば、月足チャートであれ、日足チャートであれ、そして分足チャートであれ、その段階のサイクルには同じような波の個性が表れるということです。
では、この波の個性はどのように使えばいいのでしょうか。
※エリオット波動のサイクルについては「エリオット波動サイクルで読み解く相場の現在地とトレンド」をご覧ください
「カウントのコツは何ですか?」というご質問を頂くことがあります。
まずは、推進波トレンドである衝撃波の1波動目。
波の個性として、以下のようなものがあります。
トレンドが変わった後の1波動目は、新しいトレンドの足掛かりとなる波動で、その後の3波動目や5波動目の「波の大きさ(波の倍率)」を推定するための基準にもなります。
通常、衝撃波の1.3.5波動目は、それ自体推進波で展開されるので、この1波動目が推進波の展開であることに気付けば、トレンド転換を早期に察知することが可能です。
この他、オシレーター系のテクニカルであるRSIのダイバージェンスでトレンド転換の可能性を探ることもできます(チャネリングや比率などのガイドラインも使える)。
しかし、ほとんどの投資家は、この付近でトレンド転換していることに気付けず、まだそれまでのトレンドが続いていると考えています。
そのため、この1波動目の推進波は、建設的ではあるものの、複雑な展開になることもあります。そのようなケースでは、もうひとつの推進波であるリーディング・ダイアゴナルトライアングル(Leading Diagonal Triangle)が現れてくることもあります。
また、3波動目や5波動目がエクステンションしてくる衝撃波の場合、通常は次の2波動目で大きくプルバックしてきますが、そこが多くのトレーダの注目を集めているようなポイントであるような場合は、この1波動目がエクステンションして、そのまま遠くにいってしまうこともあります(1波延長型衝撃波)。
次は、推進波トレンドである衝撃波の2波動目。
波の個性として、以下のようなものがあります。
この2波動目の大きな特徴は、深いリトレイスです。
足掛かりの1波動目が終わり2波動目が始まると、1波動目でポジションを仕込んだ投資家の多くが「ひょっとすると、まだトレンド転換していないのでは?」と疑心暗鬼となってきます。
このような市場心理から、ほとんどの修正2波動目は1波動目の値幅の多くを帳消しにして1波動目のFR50.0、FR61.8付近までプルバックすることが多く、そしてさらに衝撃波のルール限界の1波動目始点付近がその目標になることも少なくありません(俗に言うダブルボトム、又はダブルトップと言われるフォーメーション)。
修正波のフォーメーションも、前の波動を大きく調整してくるタイプであるジグザグ修正波系が現れ易いといった特徴があります。
ただ稀に、修正2波動目が横這いの展開になることもあります(衝撃波3波動目内部波動2波動目などが多い)。そのような場合、4波動目は急こう配の修正が現れ易くなります(オルターネーション交互の法則)。
売買戦略で考えると、修正2波動目の終点付近はポジションを仕込む絶好のポイントです。
この付近で新しいトレンドの波に乗ることができれば、その後は1度も損益を抱えることなく利益を伸ばしていくことも可能です(ただし、リスク管理は万全にしておく必要がある)。
※オルターネーションについては、「エリオット波動のガイドライン フェイラーとオルターネーション」をご覧ください
次は、推進波トレンドである衝撃波の3波動目。
3波動目の大きな特徴は、大きく力強い動きです。
「波の個性」とその使い方
市場心理が反映された自然の法則
相場の分析手法で世界的に高い評価を受けているエリオット波動。しかし、日本では、「そんなの信じられないよ」という人も多いようです。
たしかに、為替市場では、そのときに市場をリードしている通貨の影響を受けてしまうため、エリオット波動理論の動きが見え難くなることはあります。
しかし、相場は紛れもなくエリオット波動サイクルを繰り返しながらトレンド方向に進んでいます(たとえば、ドル円為替相場2011年からの上昇衝撃波も驚くほど正確に波動の行く先を教えてくれました)。
それでは、なぜ相場はエリオット波動理論に基づいた動きとなるのでしょうか?
「エリオット波動がトレーダーに意識されているから」と考える人もいるようです。
たしかに、世界的には「エリオット波動を使う人=波動使い」が増え、なかり意識されてきているということもあるかとは思いますが、そのことが大きな理由ではないようです。
なぜなら、エリオット波動の生みの親のR.N.エリオット(1871~1948)が「波動原理 The Wave Principle」を発表したのは1938年で、彼はそれ以前の米国株式市場75年間のデーターからその法則を見つけ出しているからです。
現在では、一般的に「エリオット波動の動きは市場心理が反映された自然の法則である」と考えられています。
もしそうであるならば、エリオット波動は「フィボナッチ」と同じく、いつの時代でも、またどんな相場でも使える普遍的なものであると言えそうです。
段階を問わず表れる波の個性
エリオット波動理論では、5波+3波=8波が1つのサイクルです。※5つの波は推進波 (Motive Waves)、3つの波又はその変形を修正波(Corrective Waves)といいます
そして、このサイクルが繰り返されることにより、ひと回り大きな段階のエリオット波動サイクルが作り出されます。
このサイクルは無限に続きます。その結果、どれだけ上にいっても、また、どれだけ下にいっても同じような8波1サイクルが現れてくることになります(これをフラクタル構造という)。
つまり、相場には段階があり、各段階の波はそれぞれエリオット波動サイクルを刻みながら同時並行で進んでいるというわけです。
ここでポイントとなるのは、エリオット波動のガイドラインである波の個性は、ある特定の段階だけというわけではなく、どの段階のエリオット波動サイクルにも同じように表れてくるというところです。
言い換えれば、月足チャートであれ、日足チャートであれ、そして分足チャートであれ、その段階のサイクルには同じような波の個性が表れるということです。
では、この波の個性はどのように使えばいいのでしょうか。
※エリオット波動のサイクルについては「エリオット波動サイクルで読み解く相場の現在地とトレンド」をご覧ください
波の個性で見つける優先なカウント
「カウントのコツは何ですか?」というご質問を頂くことがあります。
そのような場合、「優先順位を付けながら、可能性のある展開をできるだけイメージしておく」ということをお勧めしています。
このようにイメージすることにより、「あれ?」というようなときでも、うまく対応できるようになってきます。
では、どうやって優先順位を付けるか?
このようなときに使うのがガイドラインです。チャネリング、オルターネーション、波の均等性、比率などは、優先的なカウント(Preferred Count)を見つける手助けをしてくれます。
では、どうやって優先順位を付けるか?
このようなときに使うのがガイドラインです。チャネリング、オルターネーション、波の均等性、比率などは、優先的なカウント(Preferred Count)を見つける手助けをしてくれます。
波の個性もそのひとつです。
エリオット波動サイクルの道のりはひとつではないので、その途中では、波動理論のルールに照らしたとしても、可能性のある展開が複数イメージできてしまうようなケースも出てきます。
たとえば、衝撃波の5波動目が終了したのかどうか迷ってしまう局面があります。
そのような時に波の個性を使えば、「ここで5波動目が終わったとしてもおかしくないけど、3波動目がそれほど大きくないなぁ 5波動目がエクステンションしてくる可能性が高いぞ!」などと描いているイメージに優先順位を付けることができるようになります。
エリオット波動サイクルの道のりはひとつではないので、その途中では、波動理論のルールに照らしたとしても、可能性のある展開が複数イメージできてしまうようなケースも出てきます。
たとえば、衝撃波の5波動目が終了したのかどうか迷ってしまう局面があります。
そのような時に波の個性を使えば、「ここで5波動目が終わったとしてもおかしくないけど、3波動目がそれほど大きくないなぁ 5波動目がエクステンションしてくる可能性が高いぞ!」などと描いているイメージに優先順位を付けることができるようになります。
この他にも、同じような値幅の波が続く衝撃波(推進波)が現れた場合、どこがエクステンションしてきているのか判断に迷ってしまいます。
このような時も「ここは横這いのトライアングルが現れているから修正4波動目だ! ということは、3波動目がエクステンションしてきている可能性が高いぞ!」というように、波の個性を使えば優先的なカウントを見つけられることがよくあります。
描いているイメージに優先順位を付けたい時、また、カウントに迷ってしまったような時は、エリオット波動のガイドラインを使ってみてください。相場の現在地を知る手掛かりとなると思います。
推進波における「波の個性」
エリオット波動理論の8波1サイクルにおいて、5つの波の推進波と3つの波(又はその変形)の修正波では、波の個性は異なります。
まずは、推進波の波の個性から。
推進波には2つの種類がありますが、相場ではその多くが衝撃波(Impulse Waves)のフォーメーションで現れてきます(もうひつとはダイアゴナルトライアングル)。
そして、この衝撃波も、延長波を内包(エクステンション)する波動の違いによって、さらに3つの種類に分けられます。
推進波の「波の個性」は、これらの種類の違いによって異なりますが、ここからは推進波の主役である衝撃波をもとにして話を進めていきたいと思います(相場で一番よく現れる3波延長型を中心に)。
※推進波の種類については、「エリオット波動の推進波 その種類と特徴のまとめ」をご覧ください
※推進波の種類については、「エリオット波動の推進波 その種類と特徴のまとめ」をご覧ください
足掛かりとなる1波動目
まずは、推進波トレンドである衝撃波の1波動目。
波の個性として、以下のようなものがあります。
- 新しいトレンドの足掛かりとなる波動である
- 1波動目のフォーメーションは推進波で展開され建設的である
- しかし、ほとんどの投資家はトレンド転換していることに気付いていない
- トレンドが変わる付近ではRSIのダイバージェンスが現れていることがある
- 1波動目の推進波にはダイアゴナルトライアングルが現れることがある
- 1波動目はエクステンションして大きな波動となることがある
トレンドが変わった後の1波動目は、新しいトレンドの足掛かりとなる波動で、その後の3波動目や5波動目の「波の大きさ(波の倍率)」を推定するための基準にもなります。
通常、衝撃波の1.3.5波動目は、それ自体推進波で展開されるので、この1波動目が推進波の展開であることに気付けば、トレンド転換を早期に察知することが可能です。
この他、オシレーター系のテクニカルであるRSIのダイバージェンスでトレンド転換の可能性を探ることもできます(チャネリングや比率などのガイドラインも使える)。
しかし、ほとんどの投資家は、この付近でトレンド転換していることに気付けず、まだそれまでのトレンドが続いていると考えています。
そのため、この1波動目の推進波は、建設的ではあるものの、複雑な展開になることもあります。そのようなケースでは、もうひとつの推進波であるリーディング・ダイアゴナルトライアングル(Leading Diagonal Triangle)が現れてくることもあります。
また、3波動目や5波動目がエクステンションしてくる衝撃波の場合、通常は次の2波動目で大きくプルバックしてきますが、そこが多くのトレーダの注目を集めているようなポイントであるような場合は、この1波動目がエクステンションして、そのまま遠くにいってしまうこともあります(1波延長型衝撃波)。
深いリトレイスになる2波動目
次は、推進波トレンドである衝撃波の2波動目。
波の個性として、以下のようなものがあります。
- 2波動目の多くは疑心暗鬼から深いリトレイスになる
- 1波動目のFR50.0、FR61.8付近となることが多い
- 修正波はジグザグ系のフォーメーションになることが多い
- 稀に横這いの展開になることもある(その場合4波動目は急勾配)
足掛かりの1波動目が終わり2波動目が始まると、1波動目でポジションを仕込んだ投資家の多くが「ひょっとすると、まだトレンド転換していないのでは?」と疑心暗鬼となってきます。
このような市場心理から、ほとんどの修正2波動目は1波動目の値幅の多くを帳消しにして1波動目のFR50.0、FR61.8付近までプルバックすることが多く、そしてさらに衝撃波のルール限界の1波動目始点付近がその目標になることも少なくありません(俗に言うダブルボトム、又はダブルトップと言われるフォーメーション)。
修正波のフォーメーションも、前の波動を大きく調整してくるタイプであるジグザグ修正波系が現れ易いといった特徴があります。
ただ稀に、修正2波動目が横這いの展開になることもあります(衝撃波3波動目内部波動2波動目などが多い)。そのような場合、4波動目は急こう配の修正が現れ易くなります(オルターネーション交互の法則)。
売買戦略で考えると、修正2波動目の終点付近はポジションを仕込む絶好のポイントです。
この付近で新しいトレンドの波に乗ることができれば、その後は1度も損益を抱えることなく利益を伸ばしていくことも可能です(ただし、リスク管理は万全にしておく必要がある)。
※オルターネーションについては、「エリオット波動のガイドライン フェイラーとオルターネーション」をご覧ください
大きく力強い動きとなる3波動目
次は、推進波トレンドである衝撃波の3波動目。
- 3波動目は出来高を伴いながら大きく力強い動きとなる
- 1波動目と同様に5つの波の衝撃波(推進波)で展開される
- 3波動目が延長波(エクステンション)となる可能性が一番高い
- 延長波とならない場合でも力強い動きになることが多い
3波動目の大きな特徴は、大きく力強い動きです。
1波動目と同じく、トレンド方向に進む波動であるため、その3波動目それ自体が衝撃波(推進波)で展開されます。
トレンドの認識度も高まり、それまで様子を見ていた投資家が一斉に参入してくるため、この3波動目は出来高を伴いながら大きく力強い動きとなります。
エクステンションしてくる可能性が一番高いのはこの3波動目で、通常は3波動目=1波動目×1.618ラインを越えてきます。更に、×2.618、×3.00、×4.00などの大きさになることもよくあります。
また、たとえ延長波ではなかったとしても「衝撃波の1.3.5波動目のうち、3波動目は一番小さな値幅にならない」という衝撃波のルール通り、いずれにしても力強い動きとなるのがこの3波動目の特徴です。
特に、1波動目の終点ラインや0-2チャネルラインを明確にブレイクしてからは、ボラティリティも大きくなり、ロウソク足チャートでは大きな陽線(下降トレンドでは陰線)が現れてくるという特徴も持っています。
浅いリトレイスになる4波動目
次は、推進波トレンドである衝撃波の4波動目。
波の個性として、以下のようなものがあります。
- 4波動目は売り買いが交錯し横這いの浅いリトレイスによくなる
- 3波動目のFR38.2や0→3波動目のFR38.2がよく目標になる
- 修正波は横這いのフラット系やトライアングル系が現れ易い
- 為替相場では4波動目が深くなることもある
この4波動目の大きな特徴は、浅いリトレイスです。
修正4波動目は、利益確定と押し目を狙う新規エントリーが入り乱れます。そのため、修正2波動目とは対照的に横這いの浅いリトレイスになり易いという特徴があります。
衝撃波の修正4波動目のリトレイス許容範囲は、そのルールから1波動目の終点ラインまでと、かなり広い範囲です(衝撃波のルール 1波動目と4波動目は重複しない)。
しかし、その多くは、3波動目のFR38.2や0波動目→3波動目のFR38.2、またエリオット波動定石のポイントなどが目標となり、通常は浅いリトレイスで終わります。
修正波のフォーメーションも、フラット修正波系、トライアングル修正波系、複合型修正波などの横這いの展開となるものが現れ易くなります(逆に、2波動目が横這いであれば、4波動目は急こう配の展開。 先ほど触れたオルターネーション)。
但し、為替相場においては、相場をリードしている通貨の影響を受けた場合や、前の3波動目が5波延長型衝撃波である場合などは、4波動目のリトレイスが深くなることもあります(1波動目と4波動目がヒゲの部分重複することもある)。
このようなケースでは、次の5波動目はその多くでエクステンションしてくることになります。
延長波となる可能性がある5波動目
最後は、推進波トレンドである衝撃波の5波動目。
5波動目は、1波動目、3波動目と同様に推進波で展開されますが、そのフォーメーションは、衝撃波だけではなく、エンディング・ダイアゴナルトライアングル(Ending Diagonal Triangle)も現れてくることがあります。
5波動目は、1波動目、3波動目と同様に推進波で展開されますが、そのフォーメーションは、衝撃波だけではなく、エンディング・ダイアゴナルトライアングル(Ending Diagonal Triangle)も現れてくることがあります。
上の3つのケースでよく現れてきます。
このような場合、「ひょっとすると延長してくるかも」と事前にイメージしておくと、その後の展開にうまく対応できるようになってきます。
※波の延長については、エリオット波動「衝撃波のエクステンション」徹底解剖!をご覧ください
しかし、3波動目に延長波を内包する3波延長型衝撃波の場合には、その最後の5波動目が3波動目の終点を越えられないこともあります(フェイラー)。
修正波における「波の個性」
次は、3つの波(又はその変形)の修正波における波の個性です。
修正波は、4つの調整パターンに分かれています。
- ジグザグ修正波(単純な3つの波で展開)
- フラット修正波(単純な3つの波で展開)
- トライアングル修正波(基本5つの波で展開される)
- 複合型修正波(上記の修正波が複合して展開される)
そして、それぞれの調整パターンにも幾つかの種類があります。
ここでは、基本である単純な3つの波(A波・B波・C波)で展開される修正波をもとにして話を進めていきたいと思います。
ただ、修正波の波の個性は、4つの調整パターン、そして、その種類によっても異なります。
また、その修正波が上位の段階のどの部分を展開しているのかによっても微妙にその個性が変わってきます。
※修正波の種類については、「エリオット波動で知っておくべき4つの調整パターン」をご覧ください
その後の展開を暗示するA波
まずは、修正波トレンドの最初に現れるA波。
多くの投資家は、このA波を単なる一時的なプルバックで、A波の終点は絶好のエントリーポイントであると考えます。しかし、このA波は、その後の強力なC波へと繋がる布石の波動。ここで、その段階、調整期間、そして調整パターンを見誤ると痛い目にあいます。
このA波の値幅は、トレンドの認識度により、小さく終わることもあれば、大きなものになることもあります。A波が小さく終わった場合には、帳尻を合わせるため、そのC波は上位の段階の目標に向けて時として大きなものとなります。
そして、テクニカル的に見れば、このA波はその後の展開を暗示する波動です。
もしこのA波が5つの波の展開である場合、それは調整パターンがジグザグ修正波であることを示唆し、また、3つの波の展開である場合には、フラット修正波、トライアングル修正波、そして複合型修正波などになることを暗示しています。
また、トレンドの観点で考えると、このA波が5つの波ではなく3つの波である場合、その段階で展開しているトレンド波は推進波トレンドではなく修正波トレンドであることが予測できます(上位の段階のトレンドにおける調整局面)。
段階の見極めが必要ですが、波動使いにとってA波は、その後の展開を見極めるための大事な波動であると言えそうです。
ダマシとなるB波
次は、修正波トレンドのB波。
B波の特徴は、ダマシの波動となるというところです。
A波が一時的な調整であると考える投資家が、その終点付近から一斉に参入してくるため、このB波はときに「ひょっとすると、前のトレンドに回帰した」と思えるような動きとなることがあります。
しかし、これはダマシです。
このB波は単なる調整となる波動で、ほとんどの場合、次の強力なC波によってその値幅は完全にリトレイスされてしまいます。
そのフォーメーションは、A波の調整パターンが何であるかによって変わってきますが、妄信的な投資家により押し進められるこの波は、その途中まで衝撃波(5-3-5-3-5)と同じ展開であるジグザグ(5-3-5)となることが、当然ながら多くなります(衝撃波の展開であることが否定されると、損切りの連鎖が始まる)。
また、このB波は、A波の始点を越えてくることもあります。
このような展開になる修正波としては、拡大フラット修正波、ランニングトライアングル修正波、そして収束型ではなく拡大型となるトライアングル修正波などがあります。
トレードの売買戦略のひとつにブレイク戦略がありますか、これらのフォーメーションでブレイク時にエントリーするとダマシにあってしまうことになります。
修正波トレンドからの反転を狙ったトレードは、その段階、調整期間、そして調整パターンを慎重に見極めてから行う必要がありそうです。
大きく力強い波動となるC波
最後は、修正波トレンドのC波。
投資家がA波とB波で抱いていた幻想は打ち砕かれ、恐怖心がそれに取って代わるようになります。このため、この波動はいつも大きく力強い波動となります。
フラット修正波(3-3-5)やジグザグ修正波(5-3-5)などの単純な3つの波の調整パターンでは、最後のC波は推進波で展開されます。
そのC波の推進波は、ほとんどが衝撃波の形で現れますが、稀にエンディング・ダイアゴナルトライアングルの展開となることもあります。
また、C波はときに、より一層強力な波動となることもあります。
修正波トレンドは、その多くで上位の段階の目標ポイントがあり(エリオット波動の定石、チャネルライン、フィボナッチ比率など)、また、その目標に到達しようとする傾向が強くあります。
なので、通常のC波の動きでは上位の段階の目標に到達できないような場合、ときにそのC波の衝撃波5波動目は延長波となり、より大きな波動となることがあります。
たとえば、フラット修正波は比率のガイドラインではA波=B波=C波が理想的な形であるとされていますが、ときにそのC波はC波=A波×1.618などと大きな値幅となることもあります。
以上、今回はエリオット波動の「波の個性」を掘り下げてみました。
エリオット波動「波の個性」のまとめ
- エリオット波動の動きは市場心理が反映された普遍的なものである
- エリオット波動の波の個性は段階を問わず同じように表れる
- 波の個性を使うと優先的なカウントを見つけることができる
- 衝撃波の1波動目は新しいトレンドの足掛かりとなる波動である
- 2波動目は急こう配の修正パターンで深いリトレイスになり易い
- 3波動目は出来高を伴いながら大きく力強い動きとなる
- 4波動目は横這いの修正パターンで浅いリトレイスになり易い
- 5波動目は延長波となることがある、またその値幅をイメージし易い
- 修正波のA波はその後の展開を暗示していることがよくある
- B波はA波の始点を越えてくることもあるがそれはダマシである
- C波はいつも大きく力強い波動となる
エリオット波動を使って相場を分析していると、たとえそのルールに従ってカウントしていたとしても、ときに可能性のある展開が複数イメージできるような場面に出遭うことがあります。
そのような時には、エリオット波動のガイドラインである「波の個性」を意識してみてください。
きっと、優先的なカウントを見つけ出すことができるようになり、またカウントの精度もグッと上がってくるようになると思いますよ。
※エリオット波動については「エリオット波動を学ぶための完全マップ/基礎から応用までのまとめ」をご覧ください
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