とてもエントリータイミングが計り易いチャンスフォーメーションなのですが、FXではトライアングルと似ている三角保ち合い局面もよくあり、「トライアングルだ!」と思っても、実際は違う展開だったということが起こり易い修正波でもあります。
そこで、今回のエリオット波動入門はこのトライアングル修正波に焦点をあてて、その波形、内部波動、現れる場所など、その独特な特徴を綴ってみたいと思います。
※推進波の一種であるダイアゴナルトライアングルは除きます。
三角持ち合いトライアングルの概要
三角保ち合いのトライアングルには、収束型と拡大型2つの種類があり、さらに、対称、上昇、下降の3つのパターンに分けられます。
共通の特徴
FXでトライアングルが現れる場合、その多くは上図の対称収束型です(上昇トレンド下降調整をイメージ)。文字通り、チャネルが上下対称に収束していきます。
まずは、この基本形で共通の特徴を確認してみます。
三角持ち合いには共通の大きな3つのポイントがあります。
基本的な3つポイント
- トライアングルは基本5波動構成である(9波まで延長することがある)
- その内部波動は3波構成である(その多くはジグザグ)
- チャネルはAとC、BとDのそれぞれの終点を結ぶ
トライアングルは、基本5つの波で展開して、その各波動の内部波動は3波構成です。つまり、3(A)-3(B)-3(C)-3(D)-3(E)で展開されるわけです(その内部波動の動きが早い場合、時間軸を落として確認しないと3波構成であることが分からないこともあります。A波とB波はその傾向が強い)。
ただ、稀にそのひとつの波がそれ自体トライアングルになることがあり(その多くはE波)、その場合、最大9波まで延長してくることがあります。
チャネルの引き方は、AとC、BとDのそれぞれの終点を結びます(Aの始点とBの終点ではありません)。
収束型と拡大型
トライアングルは大きく収束型と拡大型に分かれています。収束型は先程の対称収束型の他に下降収束型と上昇収束型がありますが、拡大型はひとつです。
トライアングルのほとんどは収束型の形で現れますが、稀に拡大型も現れます。
以上がトライアングルの基本パターンです。
この他で覚えておくべきパターンとしてランニングトライアングルがあります。
ランニングトライアングル
上図はランニングトライアングルのイメージ図です。今までのトライアングルと違うのは、B波がA波の始点を越えてくることです。意外とこのランニングトライアングルはよく現れてきます。
3波動目の高値(下降トレンドの場合は安値)を越えた波動が、5波動構成の衝撃波ではなく、3波構成で終わった場合、拡大フラットや、このランニングトライアングルを展開している可能性があります。
以上、ここまで三角持ち合いトライアングルの波形についてでした。次にトライアングルはチャートのどこに現れるのか? その辺りを確認してみます。
トライアングルはどこに現れる?
エリオット波動の推進波直前に現れる
トライアングルは、常に推進波(多くは衝撃波)が動き出す直前に現れるという特徴があります。
つまり、トライアングルのE波が終点でタイミングよくエントリーできれば、衝撃波の1波始点からの参入となり、大きな収益が見込めることになるわけです。
では、具体的にどのようなポイントに現れるのでしょう?
トライアングル=修正4波動目?
トライアングルでまず思い浮かぶのは、衝撃波の内部波動5波動目の推進波直前の修正4波動目ではないでしょうか。
たしかに、このポイントではよく三角持ち合いの局面が現れ、衝撃波の4波動目であることの証になることがよくあります。
しかし、4波動目以外にもトライアングルが現れてくるポイントが幾つかあります。
トライアングルはこんなところに現れる
- 衝撃波の4波動目
- 単純なabc修正のb波(ジグザグのb波)
- 複合修正波の最後の修正波パターン(Y波やZ波)
- ダブルジグザグ、トリプルジグザグの最後のX波
エリオット波動の衝撃波では、2波動目は急こう配、そして、4波動目は横這いの修正パターンになることが多く、修正2波動目が単体のトライアングルになることはほとんどありません(複合修正波のYやZで現れることはある)。
そして、意外と多いのがジグザグのc波衝撃波直前のb波がトライアングルになるケースです。
三角保ち合いの局面では、波動の流れや、ひとつ上の段階の波動を確認した上で、まず修正4波動目やジグザグのb波がトライアングルになっている可能性を疑ってみるのがいいのかもしれません。
ジグザグb波トライアングル
ここまで大きな要点をまとめてみました。ここからは更に深くトライアングルを掘り下げてみたいと思います。
トライアングル副次波の特徴
トライアングルには、その他にいくつかの特徴があります。
E波は行き過ぎることも、また届かないことも
トライアングルの特徴で覚えておきたのが、最終波動E波は、しばしばチャネルを越えてくる、また、逆にチャネルに届かず終点を迎えることもあるというポイントです。
E波終点でのエントリーは、チャネルと共に、
- E波副次波aとcの大きさの比率(c=a×1.00が基本、0.618や1.618になることもある)
- C波とE波の大きさの比率(E波=C波×0.618になることがある)
- E波がジグザグであれば0-2チャネル
- E波副次波c衝撃波の2-4チャネル
この辺りを意識しておくと、タイミングが計り易くなってきます。
※チャネルラインについては「チャネルラインはこの3つを使え! 引き方と目的まとめ」をご覧ください
内部波動のひとつはよく複雑な展開になる
トライアングルの5つの副次波は、ジグザグになることが多いのですが、そのうちのひとつはよく複雑な展開になります。
特にC波がそうなることが多く、拡大フラットやダブルジグザグなどの展開になることがあります。
「C波の終点はもう一段下(又は上)だった!」ということはよくあります。C波終点の見極めは慎重に行う必要がありそうです。
また、先程も触れましたが、E波自体がトライアングルで複雑な展開になることもあります(全体の副次波が9波となる)。
副次波0.618倍の関係
トライアングルの副次波は、少なくとも2つの交互の波動がフィボナッチの0.618倍の関係になる、また、隣同士の波がフィボナッチの0.618の関係になることもあるという特徴があります。
つまり、
- C=A×0.618
- D=B×0.618
- E=C×0.618
- 隣の波が0.618倍
という関係になることが多いわけです。
トライアングルは似ている波動展開がいくつもあるため、その早い段階でそれであると判断するのはリスクがあります。
しかし、A、B、そしてCの内部波動が3波構成で、更にそれらの波動に上のような関係があるようであれば、トライアングルの可能性が出てきます(Cの3波が複雑な展開であれば、その可能性は高くなる)。
トライアングルは、早い段階での決め打ちは避けて、E波終点付近を狙うのがいいのかもしれません。
ここまでが副次波の特徴でした。 最後に、トライアングル完成後の推進波の展開について綴ってみたいと思います。
※フィボナッチについては「エリオット波動の計算/フィボナッチで比率分析する方法を徹底解説」をご覧ください
トライアングルその後の展開
トライアングルは、常に推進波の直前のフォーメーションとして現れることはすでに触れましたが、その推進波はどのような展開を見せるのでしょうか?
チャネルの最も広い部分を動く
修正4波動目でトライアングルが現れた場合、その後の5波動目推進波では勢いよくトレンド方向に進んでいきます(ジグザグb波トライアングルの場合はc波=a波×1.00が基本)。
その多くは衝撃波で展開され、トライアングルチャネルの最も広い部分とほぼ同じ大きさ動くということがよくあります。
5波終点の目安
- トライアングルの最も広い部分とほぼ同じ値幅(3波延長型衝撃波の場合)
- 5波=1波×1.00、又は1.618(3波延長型衝撃波の場合)
- 2-4チャネルの1波(又は3波)ラインタッチ(3波延長型衝撃波の場合)
- 3つの各衝撃波の黄金区分
修正4波動目がトライアングルである場合、上のポイントが重なるようであれば、その付近が5波動目終点のひとつの目安になると言えそうです。
5波動目のエクステンション
しかし、トライアングルからの5波動目は延長波(エクステンション)に発展してくることがよくあるという特徴も合わせ持ちます。
つまり、3つの衝撃波のうちの5波動目延長型衝撃波に発展してくるということです(4波動目トライアングルの安値や高値付近、又はその終点で0.618で区分される)。
したがって、5波動目の通常の終点ポイントを再び上抜けてきた(又は下抜けてきた)場合、その波動は延長波である可能性が高くなってきます。
衝撃波の方向と逆方向のポジションを建てる場合には、このエクステンションに注意する必要がありそうです。
ドル円5延長型衝撃波チャート
トライアングルが修正4波動目に現れて、その後の5波動目が通常の5波終点目安を再び上抜けて延長波に発展してきたケースです。
※トライアングルは、D=B×0.618、E波チャネル越えの対称収束型となっています。
エクステンションするまでは・・・
エクステンションするまでは、綺麗な3波延長型衝撃波になっています。- 3波=1波×3.00、5波=1波×1.00
- 黄金比率4波安値で0.382区分
- 5波はトライアングルの広い部分とほぼ同値
エクステンション後は・・・
エクステンション後は、5波動目が延長波となり、4波安値で0.618で区分される5波延長型衝撃波となっています(トレンド転換前の最後の下降推進波エンディング・ダイアゴナルトライアングルの始点が目標となっていました)。トライアングルからの5波動目は「エクステンションしてくるかも・・・」と、その展開もイメージしておく必要がありそうです。
トライアングルのまとめ
- 3-3-3-3-3の5波動構成である
- 波形は、3つの収束型とひとつの拡大型、そしてR.トライアングルがある
- 常に推進波の直前に現れる。衝撃波の4波目やジグザグのb波など
- 副次波のE波はチャネルを行き過ぎることも、また届かないこともある
- 副次波のひとつは複雑な展開になることがよくある
- 各副次波は0.618倍の関係になることが多い
- トライアングル後の推進波はチャネルの最も広い部分を動くことが多い
- また、その5波動目はよくエクステンションしてくる
以上、今回のエリオット波動入門は、三角持ち合いのトライアングルに焦点をあててみました。
※エリオット波動については「エリオット波動を学ぶための完全マップ/基礎から応用までのまとめ」をご覧ください
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